夢話
□誓
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優しく手を引かれ、ある部屋の前まで通される。
穏やかで嬉しそうな古高の顔を見ると胸が高まるのを抑えられず千姫呂は聞いた。
千姫呂「何を見せてくれるんですか?」
すると千姫呂の瞼を大きな掌が覆う。
古高「秘密やさかい、目を閉じて」
目を瞑り肩を支えられながら部屋に入る。「ええよ」と合図を送られ、ゆっくりと瞼を開くと…
千姫呂「わあ…!」
そこには衣紋掛けに綺麗に掛けられた白無垢
千姫呂「綺麗…」
汚れを知らない真っ白な生地に金の刺繍がキラキラと光りを放つ
古高「母が此方に嫁ぐ時に着た物や」
千姫呂「俊太郎さまのお母様が?」
古高「へえ、これをあんさんに着てもらお思って用意してもらいましたんや」
千姫呂「え!」
びっくりして古高を見上げると、古高も千姫呂を見つめ両頬を包む。
古高「嫌どすか?」
千姫呂「いえ、嫌なんて…」
古高「…いつもいつも千姫呂はワテのもんや妻やと言うとりましたが、証が無かった。だから、ちゃんと神さんの前で宣言したいんどす」
古高「声を大にして千姫呂が妻や、ワテが一生大事にする妻やと神さんに誓いたい」
千姫呂「俊太郎さま…」
千姫呂の目からほろ、と流れ出る大粒の涙。
古高「千姫呂、着てもらえますか?」
その涙を親指で拭うと千姫呂は何度も小さく頷いた。
千姫呂「はい…嬉しいです、俊太郎さま」
古高は返事を聞くと嬉しそうに目を細めた。
そして、どちらからでもなく強く強く抱きしめ合い、古高は千姫呂にキスの雨を降らせ耳元で艶がある声で囁く
古高「全部ワテのもんや…」
古高は、そのままゆっくりと優しく千姫呂を押し倒した。
淡い灯がゆっくりと揺らめいていた。