夢話
□誓
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真っ青な空がいつの間にか、紅を引き初めていた。
今日で古高の最後の診察を終えた町医者が一歩一歩階段を下りて行く。
古高と千姫呂は姿が見えなくなるまで見送った。
二人は顔を見合わせ手を繋ぎ、家路に向かうと砂利の上に二人の長い影が映る。
千姫呂「本当に、良くなってよかったです」
古高「へえ、あの医者の言う通り千姫呂はんのお陰や。苦労かけました」
千姫呂「苦労なんて、私思ってないですよ。だって、私と生きる事を選んでくれた俊太郎さまを一生お守りするって決めたんですから」
千姫呂はふふ、と笑うと繋いだ古高の掌を頬に擦り寄せた。
古高「こない、かいらしい天女様が守ってくれはるならワテは一生安泰やな…」
長い指が其の儘スルリとくすぐる様に頬を撫で、軽く触れるキスをする。
古高「千姫呂…」
千姫呂「はい…」
古高「あんさんに、見て欲しいものがあります」
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