夢話

□白雪の君
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沖田「千姫呂さんの国でのお話はありますか?」


2人で初めて布団に入った日、私達は何をする訳ではなくただ喋っていた


寝る時間さえ勿体無いと思ってしまう愛しい時
私達は抱きしめあいながらただ喋った


千姫呂「物語ですか?」


沖田「はい、千姫呂さんが暮らしていた時代の物語が聞きたい」


ニコニコと私の髪を弄りながら催促する沖田さん


千姫呂「うーん、そうですね…」


全てを語れる話は余り覚えてないなぁと頭を悩ませた後、私は白雪姫を静かに話した


千姫呂「こうして、白雪姫は幸せに暮らしましたとさ…」


沖田「なんと…」


沖田さんは感動したのか鼻をすすり「あぁ、幸せになれてよかった」と私を抱きしめた


私はそれが嬉しく可笑しくて微笑む


千姫呂「ふふ、私、学生の頃この演技をしたんですよ」


沖田「へえ、凄いな。千姫呂さんが白雪姫役を?」


千姫呂「はい」


思い出話に顔を綻ばせていると急に静かになる沖田さん
不思議に思い顔を向けると何やら思い考え込んでいる


沖田「白雪姫は…王子に口付けをされて息を吹き返すんですよね…?」


千姫呂「はい。そうですよ?」


沖田「なら…千姫呂さんも口付けを…?」


何を考えているかが分かると私は火が付いたように赤くなり焦って首を左右に振る


千姫呂「あ、あの、演技ですから!本当にする訳ではありませんから!」


沖田「…本当ですか?」


思い切り否定をすると、まだ不安げな沖田さんが顔を下ろし私を見つめた


目が合うとまた心臓が跳ね上がる
自分の心拍数が彼に伝わってしまうのではと心配になり目を逸らした


千姫呂「私の初めては、沖田さんです…」


沖田「千姫呂さん……」


しばしの沈黙の後私を抱きしめる腕に力を込める彼


沖田「もう、眠りましょう。これ以上昔話をしているとあなたの過去にまで嫉妬で狂ってしまう」


嫉妬だなんて、と私は少し嬉しくなりつつも大人しく「はい…」と彼の胸に顔を埋めた
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