夢話

□蛍火
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パチパチと火の粉を飛ばし焚き火の灯りが見つめ合う男女を赤く照らす

ここは京の山

高杉の鋭く怪しく光る瞳に捕らえられた千姫呂は緊張を飲み込む様にゴクリ、と息を飲んだ



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京の梅雨時期は暑い。

今日は朝から日照りが厳しい上に蒸し暑く、一仕事終えた頃には背中にも汗が伝っていた


千姫呂「この暑さはホント慣れないや…」


腕で額の汗を拭い一息つく為、井戸に桶をチャポンと落とす


尺で水を汲み上げ淵を口元に持っていくと、ぬっ、と出てきた手に飲もうとした筈の水を誰かに取り上げられた


千姫呂「あ!」


取った本人は小粋に喉を鳴らせ全ての水を一気に飲み干すと美味い!と爽快に息を吐いた


千姫呂「って、高杉さん…」


高杉「なんだそのガッカリした声は。折角顔を見にきてやったのに」


端の口角を上げて尺を千姫呂に手渡す


千姫呂「ガッカリなんて…ただ、何時も急なんですから」


プイッと高杉に背を向けて水を汲み直す


高杉「拗ねるな。今日は時間ができたからな。お前に逢状を持ってきた」


いて欲しい時に居なく、何気ない時にヒョッコリと顔を出す高杉につい可愛くない言い方をしてしまう千姫呂だが、やはり好きになったが負けで…


千姫呂「本当ですか…?」



結局は期待をして振り向いてしまう



高杉「あぁ。嬉しいだろう」


高杉は腰を引き寄せつつ、どこに?と聞く千姫呂の口元に指を添え


「行ってからのお楽しみだ」と優しく口付けた







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