夢話

□嫉妬
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〜千姫呂side〜



坂本「千姫呂〜、どげんしたら許してくれるんじゃろうか…ワシはこうゆう事は不慣れじゃき…」


眉を八文字にしてしゅん、とする龍馬さんが少し可愛いと思ってしまうも私はまた子供みたいに拗ねて見せてしまう



(これじゃ本当に子供みたいだ…)


分かってる


あの時の事だって新撰組から身を隠す為だって分かってる

遊女さんも仕事だもの
あれがこの街での接客方法だなんて身に染みて分かる

でも…と思ってしまうのはやっぱり自分への自信の無さからくるもので
自分で自分が嫌いになりそうだ


龍馬さんが困ったように頭を掻き溜息を一つつく


坂本「ワシん事、もう呆れて嫌いになっちゆうたかの…」


千姫呂「ち、違います!」


その言葉に反射的に答えてしまった


だって、嫌いになんて…


千姫呂「嫌いになんて、なれません…」


自分で言葉にしてしまうと気持ちにも拍車が掛かり制御がかからなくなる


千姫呂「…私、龍馬さんにやきもちを焼きました…」


坂本「千姫呂…」


千姫呂「龍馬さんをちゃんと信じてるのにこんな風に嫉妬してしまって…子供みたいに…」



不意に龍馬さんが私をきつく抱きしめる


暖かく安心をくれる大きい腕の中にいると自分のドロドロした気持ちも溶けていく気がする


私は龍馬さんの背中に手を回した


千姫呂「……ごめんなさい」


坂本「謝らんでえいき。あん時、疑われても切られてでもすぐにでもおまんの元に戻らんかったわしが悪いじゃき」


千姫呂「そんな事したら私怒ります」


切られてもいい、なんて冗談でもそんな事を聞きたくなくてキッ、と泣きそうな顔で睨むと龍馬さんが「わしは何時も千姫呂に怒られちょるな」と元気に笑った


坂本「それに、わしはちくっと嬉しいきに」


千姫呂「え?」



坂本「わしだけじゃなかったんじゃと思うてな」


龍馬さんは照れながらも真っ直ぐに私の目を見て話す


坂本「おまんは何時もみんなの太陽みたいな存在じゃき、みんなおまんを求めよる。わしは何時も焼きもきしちょった」


坂本「その太陽がわしに嫉妬してくれゆう。そげん嬉しい事はなかよ」


千姫呂「龍馬さん…」



坂本「じゃけん、千姫呂、頼みがあるんじゃが」


千姫呂「はい」


坂本「ちこっとでもいいけん、千姫呂の笑顔を見せて欲しい…」


腰に手を回し優しい瞳を私に向ける龍馬さん

暖かい笑顔が私に降り注ぐ



いつも明るくて優しくて…周りの人や日本までも明るくしようとしてる人


違うよ、私にとって龍馬さんのが太陽なんだよ


太陽の光を浴びた花の様に自分なりの飛び切りの笑顔を向けると、龍馬さんは嬉しそうに声を上げた


坂本「おお!千姫呂が笑ったぞ!」


千姫呂「きゃ!」


私をひょいっと持ち上げてくるくる回る無邪気な龍馬さん


千姫呂「もう、私は赤ちゃんじゃありませよっ」


坂本「ははは、そうじゃったそうじゃった!じゃあ…」


千姫呂「ひゃあ!」


急にふわっとお姫様抱っこされ顔と顔が近くなる


坂本「赤子にはこげん事しないぜよ」


鼻と鼻が触れる程の距離でニィ、と笑う彼が


私にゆっくりと焦らす様にキスを落とした






やっぱり…



キスだけで熱が出た様に赤くなる私はまだまだ子供だ…







〜fin〜
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