小説

□ごめんね
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私は、人を好きになる事は絶対ないと思っていた。
でも、私はある人を好きになった。 

「彩〜一緒に写真とろー」
「彩さんー私とも写真とってくださいー」
「もう、はいはい一人ずつなあ」

噂をすればあの子だ。メンバーに、大人気の山本彩。
みんな周りにいる子は彩が好きな子が多いけど、
あまり近づけない理由がある。

「ちょっとーみんな彩ちゃんに、近づきすぎやでぇー」
「あっ……みるきー」
「…みるきーさん」
「みるきー、別にええんとちゃうん?」
「よくないねん!彩ちゃんは、自覚ないけどめっちゃモテんねんで?」
「モテるって…私が好きなんは、みるきーだけやねんからええやろ」
「もぅ、分かった。あんまりくっつかんといてや」

そう彩は、美優紀と付き合っているのだ。
ついつい口からため息が出てしまう。私は、
それを知っていて彩を好きになってしまったのだ。

「…どうしたん,楓」
「っ、彩…みんなと、写真とってたんじゃないの?」
「もう撮り終わったわ。てか、どうしたん?ため息なんてアンタらしくないで。何かあったん?」

私の事なんかみてないって思ってたのに、みてたんだ。
こんな事言われたら、期待しちゃう自分がでてくる。
もう諦めたはずなのに。

「ちょっ、大丈夫?楓なんで泣いてるんよ」

自分でも気づかない内に泣いてしまっていたみたいだ。
頑張って止めようとするけど、涙は溢れて止まらない。

「…楓、なにか悩んでる事があったら言ってや」
「っ、うっ、彩ぁ」

彩は、見兼ねて私を別室に連れていった。

「何があったん?言うてみ?」
「……私っ、私っ、彩の事好きに、なちゃってん」
「………」
「ごめんっ、彩の事諦めようと思ったけど、無理やった」
「楓……んっ!」
ドサッ「っは、彩許してっ。これで諦めるから」
「楓ぁ……あかんっ」

ごめんな、彩。好きになって。こんな事してしまって。
彩の気持ちをふみにじってしまって。
そしてこの日、私は大きな罪を犯してしまった。

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