貴方と、彼と、私と、
□3.
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少し驚いたのは行先は彼の車だったこと。
私のバイト先より離れたところにあるらしい。
まあ細道にある小さな喫茶店だもの、
紹介しますとなったら大きい方になるだろう。
助手席に座りいつもとは違う角度の
村上さんを見る。
横顔が綺麗、なにより顔が小さい。
男性のくせに(という言い方は良くないが)
とても綺麗な顔立ちで、
なにより羨ましいのは目元だった。
「…青山さん?
なんか気になりました?」
沈黙の続いた車の中での会話は
私が凝視したがために始まったものだった。
「ああっ、え、いや!あのっ…!」
慌てた言葉の先に出てくることは
…。
何も無い。
私には余裕もなければ知識も無い。
こんな時の返し方は知らない。
「…て、天気よくて良かったなーって」
苦笑いで答えた。