貴方と、彼と、私と、
□1.
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~ on my side ~
「付き合って欲しい」
突然、関西弁の告白を聞いたのは、
丁度今から、1年と3ヶ月前のこと。
今考えればデートと言えるそれに、
誘われ、受けというのを
繰り返すこと7度目。
その言葉を聞いたのだ。
そんな彼との出会いは、
とあるカフェでの事だった。
パソコンに真剣に文字を打ち込むこと、
約1時間。
共に、このカフェに滞在している時間。
頼んだアイスコーヒーはカラになっていた。
1時間も真剣にパソコンに向かうものだからか
それとも惹かれていたからなのか。
私は食い入るようにその人を見ていた。
冷房もまあまあ聞いた店内と、
アイスコーヒーを飲み終えたその人に
「お下げしますね」
と、グラスを下げるのと一緒に、
私がお気に入りの苺の飴を3つほど
彼のパソコンの隣に置いた。
「あ、すみません」
初めて交わしたこの言葉。
この時、彼は関西から来た人だと解った。
わざわざ顔を上げ、私の顔を見て答えてくれた。
眼鏡の奥から覗くぱっちり二重の目。
少し開いた口から見える八重歯。
1時間も観察していたのに
近くで見るとこんなにも違うんだな、
なんて頬を赤らめそうになった。
その場で見入ってしまう前に、
私は早足で奥に戻った。