貴方と、彼と、私と、

□2.
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~ on my side ~



「美羽ちゃん、連絡はしたのかい?」
幸恵さんの言葉がぐっさりと心に刺さる。
昨日は店長に言われた。

「…まだです。」
苦笑いで答えた。
きっと店長にもこの顔で答えていた。

「あらあら、意外と内気なのね?」
クスクスと笑う幸恵さんは何処か嬉しそうだった。
「意外とですか?見た目通りですよ~」
そう答えると店長と顔を見合わせこちらを見る。
そして可笑しいと言った様子で私を笑った。
「なんですか!」
少し焦っていたと思う、焦って返事をすると
幸恵さんは、だってね?と言葉を続けた。

2人は口を揃えて、
「向かいに座りたがっていた」と言うのだ。

そんなことは無い、
進められたから座ったのだ。

でもあれが無かったら
私は電話番号の書かれた素敵な紙を
手にすることは出来なかったのだ。

…私は内気なのだ、おそらく。
だけど異性にあれほどの興味を持ったのは
何年ぶりか…いや、初めてに近いかもしれない。
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