Story

□猫と鮎沢と碓氷
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ピンポーン


鮎沢「はーい…」

碓氷「会長」

鮎沢「なっ!何しに来たんだよ!」

碓氷「体調不良って聞いたから様子を見に」

鮎沢「あっ…あぁ…大分良くなったよ…」

碓氷「その割には体調不良には見えないような…?」

鮎沢「ごほっ…ごほごほっ……な?まだ風邪引いて…」

碓氷「お邪魔します」

鮎沢「こら!勝手に入るな!!」


碓氷は無理やり家の中に入ると椅子に腰掛けた。


仕方なく鮎沢も向かいの椅子に腰掛ける。


それからしばらくして碓氷が口を開く。


碓氷「鮎沢…何かあった?」

鮎沢「……」

碓氷「鮎沢?」

鮎沢「じっ…実は…」


鮎沢は恥ずかしそうでもあり不安でもありそうな表情でズボンの隙間から尻尾を出した。


鮎沢「今朝起きたら…なぜか尻尾が…」

碓氷「あっ…」

鮎沢「なんでこんなことに…笑いたきゃ…笑えよ…」

碓氷「鮎沢…」

鮎沢「こんなんじゃ…学校なんか行けないよ…」


今にも泣き出しそうな鮎沢を見て、碓氷はジッとしていられずゆっくり近付き、優しく鮎沢を抱きしめた。


鮎沢「なっ…なんだよ…離せよ…」

碓氷「不安だったんだね…」

鮎沢「うす…い…」

碓氷「大丈夫だ…」

鮎沢「なんだよ…」


碓氷はここで一つ提案してみた。


碓氷「ちょっと俺んちに来てみない?」

鮎沢「何を馬鹿なことを…」

碓氷「いいじゃん、ちょっとでいいし、帰りもちゃんと送るから」

鮎沢「そういう問題じゃない!外に出るなんて…」

碓氷「大丈夫だ、俺を信じろ」

鮎沢「碓氷…」


碓氷の言葉に小さく頷くと、出かける支度をして碓氷の家へ向かった。
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