Love yourself

□後ろの席
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「はい、ですから〜この問題は〜」

数学の授業。


ペタッ

クラスの誰もがウトウトしている中、彼はいつものように背後からやってくる。


背中に何かをつけられた違和感を感じ振り返る。


「…亀梨くん。今なんかしたでしょ」


大きな目で、ニコニコしながら遠くを見てる後ろの席の彼に小声でそう言う。


「えー?別に〜」
と彼。



高校生になって初めて同じクラスになった亀梨くんは、何かと前の席の私にちょっかいを出してくる。


私は違和感を感じた肩甲骨辺りを手で触る。


やっぱり何か付いていた。


必死でとったそれを、手にとってみる。


シールだ。

それも

「ホームラン!」

とシールに手書きの文字で書かれていた。


きっと亀梨くんが書いたんだろう。


「ちょっとー!やめてよ!」

「おい、まりん!授業中だぞ!」

「あ、すみません…」

つい大きな声を出してしまい、先生に怒られる。


私何も悪くないのに…


ムカついて、後ろの亀梨くんを睨みつける。

亀梨くんは、目を上に向けて知らん顔してる。



なんなのもう…



「…おまえってさ、彼氏いないでしょ?」


嫌いな声が耳元でそう囁く。


ムカッ!


「亀梨くんにカンケーないでしょ?授業の邪魔しないでよ!」


「図星かー」


ムカッムカッ!


嫌いだ。


授業中が苦痛だ。



私の髪の毛をペンでくるくる回したり、三つ編みをされたり。


肩をずっとトントンと叩いてきて、振り向いたら知らないふりをしたり、やたら話しかけてきたり。


さっきのようにシールを貼ってきたり。


幼稚ないたずらばかりだ。



鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。


早く席替えしたいな…。

夏休みが始まって、明けるまでの辛抱だ。
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