短編

□私と〜の日常編D
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次の日、緊急で手術が始まり祈る様に終わるのを待っていた。手術が無事に終わると今度はリハビリ。手術をして次の日には自宅に戻りリハビリが始まり上手く動けないよっちゃんはイライラして私に八つ当たりは当たり前で、それでも2人でずっと一緒だった。リハビリも順調で半年も経つとドラムも演奏出来る位に戻った。その時に、よっちゃんと私のお気に入りのグリフィス天文台に行き、そこで夜景を見ていたら、よっちゃんから「ずっと一緒に居たい。」と言われ、「兄妹だし、付き人だから当たり前でしょ。」って私が答えると何も言わないよっちゃん。不思議に思っていたら私の目を見て今度はハッキリと「結婚して欲しい。死ぬまで離れたくないから。」って、はにかみながら言ったよっちゃん。それを聞いて涙を流し抱き付いた私だった。結局、私もよっちゃんもイギリスで少し離れた事に依ってお互いが大事な人だと気が付いた。結婚式はメンバーと家族だけでLAで極秘でしてマスコミには公表しなかった。それが先月の事で曲を聴きながらボーっと思い出していた。
「どうかした?」急に黙った私を不思議に思ったのか尋ねるよっちゃん。
「よっちゃん。今更だけど、あの時ゴメンね。」
「何の事?」
「イギリスの時の事。」
「ああっ、その事。急にどうしたの?」
「あの時の事、思い出しちゃって。あの時ね、辛そうなよっちゃんの顔を見たく無くて逃げ出したんだよね。自分から離れないって言った癖に自分が弱いから逃げだして1番辛いのはよっちゃんなのに一人で帰国させて私何やってんだろう。」
「でも、あの時礼子がホテルを飛び出して冷静になれたから。2日離れただけで、どうして良いか分からない位に何も出来なかったけど。結果的には、あの時はあれで良かったんだよ。お互いの存在が大事だって気付かされて結婚した訳だし。」丁度、交差点の信号が赤になり車は停車。その瞬間、よっちゃんは私に不意打ちの様にキスをした。
「ちょっと、最近多く無い?そんなにキス魔だったっけ?」最近って言っても結婚してからのよっちゃんは所構わずキスをしてくる。家では勿論だし車の中も。外でも人が居ないと平気でしてくるし。私は、いつ人に見られるか心配でいつもハラハラしてて。される事自体は嫌じゃないし嬉しいけどね。
「嫌なの?」涼しい顔して聞くよっちゃん。
「嫌じゃないけど人に見られないか心配で。」
「そんな事気にしなくても良いよ。結婚するまでは兄妹みたいな関係だったからしたくても我慢してたから結婚して我慢しなくて良いと思ったらついしちゃうんだよね。それ位、好きって事。」
「ちょ、ちょっと。その言い方、スギさんみたいで誑しっぽいよ。」真っ赤な顔して言うと、
「何で?自分の奥さん口説いちゃダメなの?」って言うから一段と顔を赤くした私を見て笑うよっちゃん。結婚する前からスキンシップが多いよっちゃんだったけど結婚したらそれ以上で今は半端無くて。それに私が照れるから、それ見てからかうよっちゃんって言うのが最近の日常で。車は漸く事務所に到着した。いつもの様に事務所の方と挨拶を交わし打合せで使う部屋へと2人で向かった。関係者の人が数人居た。
「お疲れ様です。」振り向くと西田さんだった。
「西田さん、お疲れ様です。」すると、西田さんは私とよっちゃんに近付き小さな声で話し掛ける。
「どうですか?新婚生活は?」聞かれていると思わなかったよっちゃんは、真っ赤な顔して慌て始める。自分が言うのは平気な癖に人から言われると照れるって。
「な、何言ってるの?そんな事は良いから早く打合せするよ。」逃げ出す様に椅子に座るよっちゃん。
「西田さん、業とですね?」
「そうですよ。結婚してからヨシキさん機嫌良過ぎて幸せオーラが出てるんですよ。ちょっとした意地悪です。」私とよっちゃんが結婚した事を知ってるのは事務所の上層部と西田さんだけで。公にして欲しく無い気持ちとコソコソしないといけないのが時々寂しく感じる事もあって気持ちは半々で。よっちゃんが結婚した事を殆どの人が知らないから今でもよっちゃんに好意を持っている人は沢山いる訳で。結婚する前から、そんな事は重々知ってたけどそれでもやっぱり兄として接していたのが結婚して自分の旦那さんとなるとヤキモチ焼いてるのが本音で。そんな事を全く知らない旦那さんは前から変わら無いスタイルのまま。誰に対しても友好的で優しい。それが時々イラつく時もあって。そんな嫉妬する黒い私が時々顔を出している事はよっちゃんは知らない。今日も事務所のスタッフの中の綺麗な女性が、あからさまに身体をくっつけ好意ありますアピールを私の前で今現在していて内心ムカついてるけど口に出しては言えず我慢するしか無い私。(やっぱり、そう言う悩殺ボディじゃないと欲情しないんだ。)女性を見て一人勝手に落ち込む私だった。
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