短編

□私と〜の日常編D
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打合せが始まり私は少し離れた所から見ていた。よっちゃんの隣りには、さっきの女性。私は付き人でどっちかって言うとマネージャーの様な仕事だからツアーの運営とかには直接は関係無いから打合せの輪には入れないのが現実で。ずっと、よっちゃんの身体を何所かしら触ってる。(何、その執拗なボディタッチ。要らないでしょ。)イライラする気持ちを抑える為に、その場を離れる事に決めた私。事務所があるビルの下の階のカフェに入って落ち着く事にした私は、よっちゃんにこっそりLINEで下のカフェでお茶をしてくると送った。直ぐに携帯を見たよっちゃんは怖い顔して私を睨むけど延々と女性のボディタッチをされている所何て見たく無いから無視して部屋を出て行った。カフェに着きアイスコーヒーを注文して喉を潤し少しの安堵感。時計を見ると打合せが終わる時刻まで後1時間ある。(終わる前に戻れば良いよね。ずっと見たくも無いし。)自己完結をして少しここで時間を潰す事に決めた。時間を見計らい事務所に戻り打合せをしている部屋に戻った。すると部屋に入ろうとした瞬間、廊下でよっちゃんとそのスタッフの女性が居て女性がよっちゃんに抱き付きキスをした。見たくも無いキスシーンを見せられ唖然とした私は手に持っていた携帯を思いっ切り床に落した。その音で私に気が付いた2人。女性は慌てて逃げる様に立ち去ろうとした瞬間、私を睨み言い放った。
『何、見てるのよ。』女性が言った途端、私もカチンと来たけど抵抗しないよっちゃんにもっと腹を立てて、よっちゃんに近付き私は捲し立てる様に言った。
「私、調子が悪いので家に帰ります。」よっちゃんが言い返す暇も無い位に早口で言い終えると、まだ打合せが終わっていないよっちゃんを置いて直ぐにビルの玄関に向かって歩き出した。ビルを出て近くにいたタクシーに乗込み家を目指した。タクシーが家に着くと家の中に入ると直ぐに着替えてキッチンへ。早速、パン作り。最近、嵌ったパン作り。これが結構ストレス解消に持ってこいで。捏ねる時に力を込めて叩き付けるからムカついた時に八つ当たりの様にやってるとスッキリ感が堪らなくて。
「大体、よっちゃんも逃げれば良いんじゃん。普通、奥さんの目の前で他の女性とキス何てしないでしょ。本当、ムカつく。私だって我慢出来る事と出来ない事があるんです。自分だって私が他の男の人と話しするだけで怖い顔して睨む癖に。よっちゃんの前で他の男の人とキス何てしたら殺されるよ。自分は良いんだ?あれって、浮気じゃないの?ムカつく。やっぱり、あんな悩殺ボディじゃないと嫌なんじゃないの?」パンを叩き付けながら、よっちゃんの文句をつらつらと言ってる私だけど、いつの間にかよっちゃんが戻って来ててその独り言を聞いているとは知らない私。
「私にはキス以上の事しない癖に。新婚なのに。私に魅力が無いって分かってるけど、それでもやっぱりよっちゃんに触れて欲しいの。私じゃ、その気にならないって事?それとも処女だから?初めてだから怖いって思う気持ちもあるけど、よっちゃんの事好きって自覚してからよっちゃんのキスだけじゃ物足りないって思うし。え?私、欲求不満って事?」面と向かって口に出しては言えない事を一人だと思っている私は大きな声で一人喋っていた。
「礼子、欲求不満なんだ?」声がする方に視線を向けると、よっちゃんはキッチンの入り口の壁に凭れて立って居た。
「え?」まさか居るとは思ってなかった私は大慌て。それを見てクスッと笑うよっちゃん。
「い、いつから居たの?」
「大体、よっちゃんも逃げれば・」
「ストップ。それ最初からじゃん。盗み聞き何てしないで。ムカつく。」
「声掛けようとしたら、ずっと喋るからタイミング逃した。怒ってる?」
「当たり前でしょ。」
「それってヤキモチ?」ニヤニヤしながら言うよっちゃんに腹が立って無視を決め込み、再びパンを捏ね始まる。
「ねぇ?」それでも聞いてくるよっちゃんを無視していたら
「ねぇ?それってヤキモチ?」今度は腰に腕を廻され耳元で囁かれ固まる私。
「煩い。邪魔。」それだけ言うと体の向きを変えさせられ私の目の前にはよっちゃんのドアップ。気が付いた時には、いつもとは全然違うキス。頭を押え込まれ息が出来ない程の激しさで息が出来なくてどんどん苦しくなって、よっちゃんの肩を叩く。それでも離して貰え無くて、もう限界って言う所で漸く解放された唇。その瞬間その場にへたり込んだ私。息を整える私とは逆に全然余裕のよっちゃん。
「これでも分からない?」笑いながら言うよっちゃんを軽く睨むと、
「こんな事、礼子にしかしないから。それと俺が欲情するのは礼子だけ。俺何て、結婚する前からずっと欲求不満だけど。」床に座る私の耳元で囁く、よっちゃんに真っ赤な顔して黙る私だった。
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