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□メリーさん
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 私のスマホにかかってきた電話。
 それは、メリーさんからだった。

 メリーさんが家まで来るという話は聞くが、みんなその後どうなったかは知らないんじゃないだろうか。

 答えはこうだ。
 メリーさんの暮らす異次元の世界に連れて行かれ、そこでメリーさんと遊ぶ。
 異次元といっても広くはなく、ちょっとした大部屋のような一室だけ。

 この空間では、食事もお手洗いにも行く必要がないためそういったのはなく、怪我も死ぬこともない。
 なのに、何故かお風呂だけはあるのだが、それはメリーさんが綺麗好きだから。



「新しい子連れてきちゃったわ」

「メリーさん、もうこの部屋一杯だよ。幼稚園以上だよ」



 メリーさんはいつもいつも子供を連れてくるため、部屋はすでに子供で一杯。
 そしてこうなると、決まってこうする。



「みんなー、このゲートを通って帰るのよ」

「はぁ、もうこれはメリーさんというより神隠しだよ」



 部屋にいた全員、ゲートを通ると元いた場所に戻される。
 こうして変な神隠しがきっと元いた世界では広まっているだろう。

 ちなみに何故私は帰らないのかだが、もう私に帰る場所はないから。
 私がこの異次元に来たのはもう100年以上も前。
 異次元では年はとらないが、元の世界の刻は進んでいく。

 それに、今の私の家族はメリーさんなのだ。



「よーし、また新しい子連れてきちゃうんだから」

「ちょっと! ここを託児所にする気!?」



 メリーさんとの生活は今では楽しくて、連れてきた子供達とも遊べるから実は暇にはならない。

 それに、メリーさんは実はとっても優しい女の子。
 最初はメリーさん自身が寂しくて子供達を連れてきていたみたいだけど、今は違う。



「託児所でもいいじゃない。それに、子供達直ぐに連れてくるから寂しくないわよ」



 今は私が寂しくないように、メリーさんは子供を連れてくる。


 私メリー、今アナタの後ろにいるの──。



メリーさん
 

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