AKBg

□見ているだけ
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楽屋の真ん中で大勢のメンバーに囲まれてるあの子は誰にでも優しくて、見惚れるくらい美人

あの子の笑顔を私だけに向けてほしい何度思ったことか、私だけを見てほしい私だけのものになって欲しい...でも、あの子は特別な子なんて作らない。誰に対しても平等なんだ


「りなー。今日も可愛いなー」

「優ちゃんのほうが可愛いよ」

りなに頬に手を添えられながら微笑まれ優子は柄にもなく照れている

「りなちゃんー!ちゅー」

「ふふ。だめだよー。お預け」

キスを迫ろうとした珠理奈の口に指を当て遮り周りからキャーキャー言われている

私はただ見つめることしか出来なくてりなに対してだけは積極的になれない。
私からアクションを仕掛けることができなくて、受け身でしかいられない
優子や珠理奈みたいにできない。羨ましくもあり、妬ましくもある

「あーつこ。何してるの?」

「麻里子...。ちょっとねー。」

麻里子は私の顔を見つめ隣に座った

「どーせ、りなのこと見てたんでしょ?」

「...別に」

「人懐っこい敦子がどーしてりなにはそんななんだろねー。...ああ、好きだからか」

にひひと意地悪そうに笑う麻里子の口を手で抑える

「もう!聞かれたらどーすんの!」

「ごめんごめん。」

麻里子は何でもお見通し。隠そうとしても隠せない。

「見てるだけでいいの?伝えたらー?敦子のきもち。」

「無理だよ。」

「どうして?」

「振られたらそこで終わりじゃない。好きでいることもできない...。」

「振られるとも限らないじゃない」

「...見てるだけでいいの。辛いけど振られることより辛いことなんてない。このままで、いたいの」

「そっか。敦子がそれでいーならいいんだけどね。ま、相談してよ。いつでも聞くからさ」

「うん。ありがとう」

それじゃーねと麻里子はにゃんにゃんのところへちょっかいを出しにいった
麻里子の後ろ姿を見送ったあとりなに視線を戻すとりなと目が合ってしまった
反射的に目を逸らしてしまった...。
どうしよう...絶対可笑しいよね。変に思われたよね...。

そんなふうに悩んでいると頭上から声がした

「あっちゃん?どうしたの?」

「え、あ、ううん。なんでもないよ」

心配そうに私を見つめてくるりなに動揺して少し声が震えてしまった

「あっちゃん?体調悪い?」

りなは私の前に膝をついておでこに手を添えながら心配そうな顔でこちらを見てくる

「ううん。ほんとに。なんでもないの」

「そっかー。ならいいんだけどね。」

ほっとした顔になってりなは私の隣に座った

「悩み事があったら相談してね、頼りないかも知れないけど。相談には乗ってあげられるから」

私の頭をポンポンと叩いてふふっと微笑んだ
その顔のあまりの美しさに見惚れて顔が赤くなっていくのがわかる。

「あ、ありがとう」

お礼を言うのが精一杯で私はそのまま俯いてしまう

「あっちゃん、わたし「りなー!」」

「...あ、呼ばれてるや。あっちゃんほんとに何かあったらいってね。じゃ。優子のとこいってくるね」

りなはそう言うと何かを言いかけたことをやめ、優子たちのところに戻って言った
言葉の続きが気になるけど言うことをやめたということは何かを考え直したんだろう...











りな、すき。大好き。
私がもっと素直になれてたら、積極的になれてたら、あなたは私のものになってたのかな。私だけを見てくれてたのかな。
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