乃木坂

□ななまる
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七瀬はすぐに誰かの背中にくっつく
初期のころは麻衣に抱きつけなくて泣いてたあの子も今では普通にいちゃいちゃしてる
なんだったら麻衣の七瀬への過保護&セクハラが尋常じゃない
そんなことはどうでもよくて
七瀬が唯一甘えてこない相手、それは私だ
普通に会話もするし2人きりではないけど食事や買い物にだっていく
ただ、スキンシップがあまりにも無さすぎる
嫌われてるのかなとも思うけどお泊まりも呼んでくれるから嫌われてはないと思う

私だって七瀬にもたれかかられたいし、腕を組まれたりぎゅーってされたい
ファンの間ではクールだって言われる私は実は性格的には麻衣と同じ側だ
ポーカーフェイスが得意で人見知りということも相まってそんな印象なんだろうけど

「かずみん」

「どうしたー?」

「七瀬ってなんであんなに可愛いんだろうね」

「おっと!なぁちゃんねぇ。確かにほんとに可愛いよね」

「うん」

頬杖をつきジョンソンの背中にもたれて目を瞑っている七瀬を眺めながらかずみんと七瀬の可愛さについて語り合う

「でも、私玲奈となぁちゃん仲悪い?とまではいかないけど気まずい感じなのかなって思ってた」

「え。なんで?」

「だって、なぁちゃんと話す時の玲奈普段より笑顔少ないし相槌ばかりでしょ?」

「うぇっ...」

「何その音」

「そんなことになってる?」

「無自覚なの?」

「まったくのね」

「なぁちゃんに玲奈ってななのこと嫌いなんかな?って相談されたこともあるし」

「そんなわけない!!!」

思わず普段出さない大声を張り上げ席を立ったせいで、目を瞑りうとうとしていた七瀬は目を見開き驚いた顔でこちらを見て周りの視線は一気に集まり更には椅子までガシャンっと大きな音を立てて倒れてしまった

しまったと思うが得意のポーカーフェイスで椅子を直し、座り直す

「いやいやいやっ。なにごと!?」

普通に座る私にキャプが心配そうに聞いてくるが七瀬にそんなふうに思われてたことが辛すぎてああなったとはいえないから無視をする

「え...無視?なくぞっ」

「なんかねぇ「かずみん」」

「う。ごめん。なんもない」

「えー、なんでっなんでっ。私に言えないことなの?喧嘩じゃないよね?」

「喧嘩ではないよ」

「うー。そうなの?まぁ、ならいいけど」

渋々といった感じで元にいた場所に戻り暫くこちらをチラチラ見ていたが普通に会話する私たちを見て安心したのか若月との会話を再開する

チラッと七瀬のほうを見ると眉を八の字に曲げ心配そうにしていてごめんと口パクするとふにゃっと笑ってまたもとの体勢に戻る

「ごめん。まさかそんなに反応するとは」

「ね。私もびっくり。こっちこそごめんね」

「玲奈のあんなにおっきい声初めて聞いた」

「私も19年間生きていて初めて出したかもか」

「そんなに七瀬が好きなんだなー!?」

いししと意地悪そうに笑いながら麻衣が後ろから抱きつき話しかけてくる
さりげなく胸に伸びてくる腕を払い除ける

「ちぇっ。」

ただセクハラがしたかっただけなのか口を膨らませながら不満そうに元の場所に帰っていくかと思ったらニヤッと笑って七瀬に駆け寄りセクハラしながら何か耳打ちをする

セクハラしまくる麻衣の手を掴む七瀬の顔がみるみるうちに赤くなっていく

「何してんのあの子」

「なぁちゃんに告げ口とか?」

ルンルンと効果音が出そうなくらい楽しそうに戻ってきた麻衣は

「ちゃんと七瀬にいっといであげたよ」

と肩に手を置いてくる

その手を掴んで引き寄せ何を勘違いしたのか目を閉じる麻衣の頬をつねる

「ひたひー」

「余計なことしないでよ」

「う。ご、ごめん」

「...焼肉奢ってくれたら許す」

「ほんとに?ほんとにそれで許してくれる?」

「うん。」

「わかった!空いてる日教えてねっ」

幸せそうに笑いながら美味しいお店探さなきゃっと張り切り椅子に座り携帯で探し出す

「なぁちゃんお顔真っ赤だよ」

「...話してくる」

「お!頑張れー!」

「うん。かずみん話聞いてくれてありがと」

「いえいえー」

にこっと微笑むかずみんの頭を撫で席を立つ


「七瀬」

「あっ...なに?」

「話がしたいんだけどいいかな?」

「うん。ななも玲奈とお話したかってん」

七瀬の隣に座ると空気を読んでジョンソンが席を立ってくれた

「麻衣になんて言われた?」

「えと...玲奈がななに抱きつかれたい?みたいに言ってるよって...」

「うーん...」

「ちゃうかった?」

「や、その。恥ずかしいな...七瀬ってさ誰かの背中にもたれたりするの好きでしょ?」

「うん。好きやな」

「私もたれられたことないなって思ってさ...」

「あぁ...」

「強制したいわけじゃないんだよ!?
ただ...その...私七瀬のこと大好きだから」

「え!?」

口に手を当て顔を赤く染めながら見つめてくる七瀬

「ななのこと好きなん?」

「うん。大好き」

「そ、そうなんや...誤解しとったみたいやな」

「どんなふうに思ってたのか聞いてもいい?」

「玲奈ってななと話してるときあんまり喋ってくれへんやん?
かずみんとかまいやんとかと話してる時は、笑顔だしスキンシップも多いからな...比べてななのことは好きやないかなって思っててん」

「ごめん。」

「あっちゃうんよ!責めてるわけじゃなくて...寂しいなって」

「私、七瀬のこと好きすぎて麻衣たちに絡むみたいに雑にできなくて...ほんとに好きだから」

「玲奈...ななも玲奈のことほんまに好きやねん」

「それ、どういう意味か聞いてもいい?」

えっ?と驚きながら頬を抑え俯く七瀬に頬が緩み頬を包むように支え目と目を合わせる

「私と付き合ってくれませんか?」

「っ!は、はい...」

嬉しすぎて七瀬をぎゅっと抱き寄せ幸せを噛み締めているとここが楽屋だったことを思い出し体をばっと離し周りを見ると

「ひゅーひゅー」

「キスしろ!七瀬行け!」

全員がニヤニヤしながらこちらを眺め、玲香は囃し立て、麻衣に至っては七瀬にキスしろと言っている

「七瀬、麻衣叩いてもいいよね?」

「うん。お願いするな」

立ち上がるとき七瀬の頬にちゅっとキスをすると驚いた顔をした後ふにゃっと笑う七瀬の頭を撫で麻衣の方に歩いていく

「な、なに!」

「焼肉、七瀬とかずみんの分も追加ね」

「えええええ。破算しちゃううううう」

「自業自得」


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