劇団員たちと見る夢

□酔っ払いの破壊力
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時刻は夜10時

談話室では春組、夏組、秋組… ほぼみんな集まってテレビを見たり本を読んだり
それぞれ過ごしていた


至さんと万里がいないのは、多分部屋でゲームをしているからだろう…
左京さんも出掛けていて今はいない


「そろそろ電気消さないと、左京さんに怒られるぞ〜」


俺はキッチンで椋と皿を片付けながら、テレビの前にいる奴らに声をかけた


「いや無理っすよぉ〜 この2時間ドラマ、今いいとこなんス〜」


太一がすかさず反論し
うんうんと、周りの何人かが頷いている






「カントク……… まだ帰ってこない……」


真澄の呟きに、皆が一斉に時計を見た


「まだ10時だけど?子どもじゃないんだから…」


幸がやれやれといった様子で真澄を見た



「………飲み会って言ってた

他の劇団のやつらと………」

「大丈夫だよ、真澄

伏見さんも一緒なんだからw」


俺は不安気な真澄を諭すようにそう言った


「それも気に入らない………」


真澄が拗ねたように呟いた


………今日監督は他の劇団の飲み会に出るため、伏見さんを伴って出掛けていった


他の劇団とも交流を深め、お互いに切磋琢磨しようという名目の飲み会らしい




しかし… 何せうちの劇団は未成年が多い

お酒が飲め、かつ他の劇団の人とも交流できる常識人……となるとかなり限られる

そこで白羽の矢がたったのが伏見さんだった




(……伏見さんはまともだから大丈夫だよなw)



ということで今日は監督と伏見さんの代わりに俺がキッチンに立っていたのだ










「あ、帰ってきたんじゃない?」


幸の言葉で皆が今度はドアの方を見た


部屋のドアが開き、そこから…………













「たっだいまぁ〜〜〜♪♪♪」


「「「…………?!!」」」


……上機嫌な監督が入ってきた



「か、監督……?💦」

「もしかして………酔ってます??」


フラフラ歩く監督に俺と咲也が駆け寄った


みんなも監督の異変に気づいた




「え〜… 酔ってないよ♪」


そう言う監督の目はとろんとしている…





「ただいまー…… やっと帰ってこれたよw」

「あ!おみみ〜 おつぅ

てかカントクちゃん、どうしちゃったの?」

「どうしたもこうしたもないよw

ただの酔っぱらいだ(^^;」




伏見さんはすっかりお疲れモードだ

酔っぱらった監督を連れて、やっと帰ってこられたといった様子だ










「…………酔ってるアンタ

超可愛い……好き…♥️」


すかさず真澄が監督に近づく

こういうとき、監督はいつも塩対応なのだが…










「……ホント?真澄くん、ありがとう…!

わたしも真澄くんのこと












だーーい好きだよぉ〜 ヾ(´∀`*)ノ」


「「「〜〜??!!」」」


みんなが目を疑った……

監督が真澄にハグをしたのだ……!!



「真澄くん、いいコ、いいコ〜〜♪」

「……………カントク、俺…… もう我慢できない……」


「わー!!真澄、待てっ待て!!」




俺と咲也とで真澄を監督から引き離す…💦


「カントクちゃん、酔うとあんな感じになるんだね…」

「可愛すぎッス!///オレっちもハグされたいッス〜!」



酔っ払いの破壊力… 凄まじい……




「ほら、監督… ここ座って
はい、水飲んで

ちゃんと水分取らないと明日二日酔いになるぞ?」



伏見さんが監督をソファに座らせ、ミネラルウォーターを手渡した



「ん…… ありがとぉー……」



みんながいつもと違う監督を凝視する中、至さんと万里もやってきた




「今回も上位余裕じゃね?」

「課金は正義、裏切らない……」

「あ!たるちにNEOじゃーん!やっほーー♪」

「「……??!」」



急にハンネを呼ばれた二人は驚いて監督を見た


「は?リアルでハンネ呼びとかなんなの?」

「………監督、酔ってんじゃね?」



二人もすぐに異変に気づいたようだ




「酔ってないよぉ〜

………てか至さんにも飲み会来てほしかったな
飲めるんだし〜」



拗ねた様に言う監督にまたみんなが反応する…




「監督ちゃん、素直なのマジかわ…♪」

「拗ねてるのカワイイっす…!」

「…………ッス」








「………ぁ、でもやっぱりダメだぁ

至さん来たら他の劇団の女の子に囲まれちゃうもんね……」




………この一言で至さんの変なスイッチが入ったらしい


ソファに座る監督に後ろから近づき
その耳元で囁くように言った





「……………俺が他所(よそ)の女の子にちやほやされたら

監督はイヤ?」
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