劇団員たちと見る夢

□そのまま寝たら肌が死ぬぞ
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「………あれ?監督ちゃんは?」



俺たち秋組が稽古を終えて、談話室に戻ったとき
万里さんが部屋を見渡して言った




「それが………」




キッチンにいた綴さんが、不安そうな顔を覗かせた






「………熱があるみたいで、早く寝たいからって部屋に戻っていきました

飯もいらないし、風呂も入らないって…



大丈夫でしょうか?」




綴さんが臣さんやクソ左京を見る





「それは心配だな……

何も食べなかったら薬も飲めないだろうから、何か作って持っていくか

綴、冷蔵庫に何が残ってる?」


「……ったく、監督さんも自己管理がなってねぇな

……………迫田に薬買いにいかせるか」








年長組がいそいそと動き始める







「俺っちたちは……特に何もできることないっすねぇ😰」

「……………っス」

「まぁそんなもんじゃね?
具合悪いっつってんだから、静かに寝かせてやるのが1番っしょ」



そんなみんなを見て、俺もできることはないなと思ったが……





(…………そういえば、監督

風呂も入らないで寝たって……














は!!まさか……っ?!!)









「ーー?! おい、坊?!」






クソ左京の声が聞こえたが、俺はそれを振り切って目的の部屋に向かった










何故か俺が妙に焦って、歩調が速くなる
ほぼ小走りになりながらその部屋の前に立った











「ーー監督!!入るぞっっ」





ノックと同時に扉を押し開ける



俺の予想が当たっていたら、それは

大変なことだ…………














「ぁ………… 莇くん?」



弱々しい声が聞こえて、マスクをした監督が布団から少しだけ顔をのぞかせた




その姿を見るなり、俺は監督に近づき…





そのマスクを半ば強引に剥ぎ取った





「ぇ?ぇ…?な、なに………?」


困惑する監督の顔を見て俺は自分の予想が当たっていたことを確信し

そして驚愕した……







「監督……… あんた………












メイク落としてねぇじゃねーか!!!




「…………あー………それね💦アハハ……」



困ったように笑う監督







「笑ってんじゃねー!

それがどんなことかわかってんのか?!!

死ぬぞ!!!(肌が)」


「……だ、ダメなのはわかってるんだけど

ごめん………

午前中から悪寒がするなと思って…そしたら頭痛くなって、それで………」





苦痛に顔を歪めた監督を見て、俺はやっと我に返った




「わ、わりぃ……… ちょっと俺も焦って……」




監督は目をつぶり、見るからにぐったりしている







(俺にできること…………)







そう改めて考えた












「監督……



監督はそのまま寝てていいから、メイクだけ俺が落としてもいいか?



そのまま寝たらホントに肌が死んじまう」






ゆっくりと、監督に問い掛けた























「………………嬉しい

わたしも、ホントはお化粧だけは落とさなきゃって思ってて…



やってくれるなら、ホント嬉しい………」



監督が、にこりと微笑んでくれた







「………………っ/////


じゅ、準備するから……ちょっと待ってろ///」





俺は急いで監督の部屋を出た















「おい!坊!

病人の部屋に勝手に入って何やってんだ?!」


「うるせー!クソ左京!💢
一刻を争うんだよっ」


「は、はぁぁ?💦」







いそいそと準備をする俺を他の奴らが不思議そうに見ているが
俺は気にせず準備を進めた







「おや、莇…? どうしたのかな?」

「東さん…… わりぃ、今急いでるんで」







東さんにも声をかけられたが、その横を通って監督の部屋に急いだ
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