劇団員たちと見る夢

□そのまま寝たら肌が死ぬぞ
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「監督…?入るぞ」


………冷静になってよく考えてみると
さっきは女である監督の部屋によくも勝手に入ったものだと… 少しばかり反省した








「どうぞ〜…………」





小さく声が聞こえたので、静かに入室した







「監督は、ホント寝てていいからな」



俺はベッドの側に座り、持ってきた道具を広げた



「まずはポイントメイクを落とす

……っても監督はアイラインも濃くないからな

念のため






次にミルクタイプのメイク落とし
これ、洗い流さなくてもいいやつだから」





俺は適量を手に取り、監督の顔に馴染ませていく





(………確かに、熱いな……………)




手から監督の熱が伝わってくる








「……………マッサージ、きもちい」


「マッサージってほどのものじゃねぇけど…

しっかりメイクと馴染ませないとな



ミルクタイプって落ちにくいイメージだけど、監督は薄化粧だからこれでも充分だろ」






監督は目をつぶったまま、頷いてくれた







「メイクが浮いてきたら濡らしたコットンで軽く拭き取っていく……

で、今日はさらにホットタオル」


「ホットタオル……?」


「風呂入れねぇなら少しでもさっぱりしたいだろ…

ホットタオル作ってきたから」






俺は温めたタオルを監督の頬やおでこに軽く押し当てた






「………ホントそのまま寝ようとしたなんて信じらんねぇ

メイクしたまま寝るってのは顔の上に雑巾のせながら寝るようなもんだからな」


「…………………………」



「……………………監督?」






やはり監督は具合が悪いためか俺の言葉に対する反応はない


ただしばらくして











「……………………きもちい」






「………………………っ//////

も、これくらいでいいだろ…」









俺の顔が熱いのは、何故だろう


まさかすぐさま風邪がうつったということはないだろうし

















(………………監督の役にたてて



嬉しい…………………)










タオルを取ると、次はパックを監督の顔にのせた



「これで潤いもバッチリだな…………


あとはしっかり水分補給な!風邪ひいてるんだから特にだ!」







パックも終わって乳液やクリームで仕上げた後、俺は監督にペットボトルに入った水をさしだした






「ん………………」





一瞬、病室にいた母親がフラッシュバックした……









「莇くん、ちょっとお願いがあるんだけど…」



ペットボトルを置いた監督が俺に向き直った






「ん、なに……?」


「そのタオルでいいから













背中、拭いてくれないかな……?

熱上がったら、汗、かいちゃって……」



「……………………………………」









そう言われた俺だったが、内容が直ぐ様理解できなかった……







汗をかいた?


監督の背中を?


俺が…… 拭く?


















「で…!
できるわけねぇだろ?!!/////」


「だよねー……w」




監督はそう言って困ったように笑った…





「じゃあせめて着替え、取ってくれる…?

1番下の引き出しに部屋着が入ってるんだけど……」


「〜〜〜っ/////

ゆ、幸さん呼んでくる…!」




俺は慌てて監督の部屋を出た

後ろで監督がクスクス笑っていた気もする…









(じょ、冗談じゃねぇ…!

そんなのできるわけねぇだろぉぉぉ///


監督の汗を拭く?着替えが入ってる引き出しを開ける?



無理だろ無理だろ無理だろ…!💦)







「……おや、莇?

監督の様子、どうだった?」



談話室に向かっていた俺の前に現れたのは……









「ぁ………東さん」




直感的に思った


この人なら………
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