弱虫ペダル 過去編

□eins
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「それじゃあ、ナナちゃん元気にしてるのよ」

「うん…お母さん行ってらっしゃい。向こうでも元気でね」

「じゃあな。お前こそ元気にやるんだぞ」

「心配いらないよ
それに、お仕事だし仕方ないよ
お父さんも元気でね」

ニコッ

そう言って私は微笑んだ

父と母も笑顔で手を振ってくれた

そして2人の背中は遠くなる‥

私は下を向いた

(っ‥泣かない、私は強くなるんだ)





私は北海道から大阪に引っ越してきた

もうすぐ中学1年生

父は大手ジュエリー会社の社長
海外で今うちのジュエリーが人気らしく、私を日本に置いて2人は海外に転勤となった
まだ小学校卒業してからあまり時間の経っていない娘を1人日本に置き去りにするなんて普通はありえないだろう

でも、2人の邪魔になるよりはマシかな

(本当は寂しいけど)

何十年も前からうちのブランドは人気で海外にも会社を持つほど有名

日本ではあらゆるデパートなどに支店が入っているので、その名前を知らない人はいないと思う

ちなみに海外に会社を建てたのはほんの数年前の話

そう、私は如月ジュエリーの令嬢
だけど そういうのは嫌いなんだ
両親はお互い愛し合っている
年齢なんて関係なくラブラブみたい

私のことなんかどうでもいいんじゃないかな

だって、仕事が忙しくて人付き合いや参観日なんか無理だから私の小学校生活は通信制のものだった
もはや小学校生活なんて呼べないよね
家庭教師も雇ってくれてたけど、毎日ではなかった

中学に上がるに連れて両親は海外に転勤
私はというと大阪に祖母がいるので大阪に転勤



最初はね 生まれ育った街がガラス細工で有名な場所で如月家もそんな大きな会社ではなくガラス細工屋だったらしい

ジュエリー界に進出したのも10年以内の話

それはさて置き私は北海道のそんなに都会ではない所で育ち友達もいなかった

コミュニケーションの取り方なんて知らない

唯一の家庭教師とも全然会話続きはしなかったし

友達なんてものは存在しなく独りだったから
歌が友達だった
唯一大好きなアーティストがいてそのアーティストの歌を口ずさんでたの

その時間が1番好きで‥生きてるって感じられる


ちなみに北海道、大阪、東京、千葉、イギリスに家を持っている



なので今回大阪というのも買っている家が有り偶然というべきかおばあちゃんがいるからなのだ

「‥大阪かぁ。私大阪の人のテンションについて行けるかなぁ。なんて今から弱気になってちゃダメ」

(と、言うかもう中学生か‥友達欲しいなぁ)

(とりあえず大阪に着いたらおばあちゃんに連絡して荷物片付けよう)

大丈夫。独りは怖くない。



私は空港の出口に向かって歩き始める


すうっ‥

外に出て大阪の空気を胸に閉じ込めた

(独りじゃない。私には歌がある)



そしてーーーー


これから此の物語のヒロインの運命の歯車が回ろうとしているーーー






それはまだ誰も知らないーーーー
 

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