弱虫ペダル 過去編

□zwei
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空港からタクシーで今日から住む家に到着

タイミング良く宅急便が届いた

家の前にいたら宅急便のお兄さんに声をかけられた

「こんにちわーカンサイ宅急便やけどお嬢ちゃんここの家の人?」

「は、はい!
そうです」

「荷物全部重いんやけど中まで運びます?」

「いいえ、この辺に置いて頂ければ後は自分でやりますから」

そういうと宅急便のお兄さんは ほな、置いて行くで!と荷物をさっと下ろして去って行った

(ふぅ‥。緊張したよ‥宅急便のお兄さんと会話するのもすごく恥ずかしかった)

私は俗に言うコミュ障で、引っ込み思案。


「と、とりあえず荷物全部中に入れよう‥っしょ、ってお、も、い‥」

(持つのでやっとだよ〜)

「ンーーー」




「まぁ
お嬢ちゃん大丈夫かいな?!」

とりあえず持つことに集中してふらついていた私の身体が軽くなった



「あ、あの〜すみません
大丈夫ですから、手をはなしてもいいですよ」

他人に迷惑かけたくなくて咄嗟に出た言葉だった

振り向けないけどこれは女性の声だ


ガサっと支えてくれたときに音がしたので買い物帰りの主婦だと思われる

(ご近所さんかな?‥)

「そんなん危ないわ〜
荷物重たいやろ
うちに男の子おるから手伝わせたるわ
どうせ暇やろし!ちょいと待っとき」

「あ、あの!」

本当に1人で大丈夫だと言いたかったけど既に背中が遠い

大阪には親切な人が沢山いるって良く言うけど本当なんだ‥早速良き大阪人に巡り会えて嬉しいです

なんて思いながら、荷物ひとつを家の中へ‥

ふたつめを取るためにしゃがんでいた時だった


「ソレ、ワイが持ったる!
チビ、そんなヒラヒラした格好じゃあ持てへんやろ下がっとれ」

びくっ

(さっきの叔母さんの息子かな?なんだか声が大きくて‥
まぁ、確かに私は今赤色と白がモチーフのフリフリしたワンピースを着ている 俗に言うロリィタファッション‥って今チビって言いました?この人)

とりあえず、チビは訂正しようと思います


「わたし、チビって名前じゃな‥‥ヒィィ」

(髪赤っーー不良?!)

びっくりし過ぎて後退りをしたら睨まれた

「なんや
ワイの顔見てそんなんびっくりしなくてもええやないかい
どこの国のお姫様や
赤いドレス?ワンピース?派手でええセンスしてるとは思いますけどな」

キラーンという効果音が聞こえそうな決め顔で言ってきた

チビは無視なの?!
とりあえず謝ろう

「ご、ご、ごごめんなさい」


「い、や、そんな謝らんでもええで」

彼の顔が引き攣る





‥‥‥沈黙









「あ、あ、そや、ワイの名前は鳴子章吉言います
よろしくお願いしますっ」

ニコッという効果音が聞こえそうなくらいの眩しい笑顔で彼は名乗った


(そうだよね。まずは自己紹介しなきゃだね。よし!)

「わ、私は如月ナナです。
よろしくお願いしますっ」



ぺこり


恥ずかしくて俯き加減で挨拶を終えた

すると


ガシッ

「よろしくな
如月さん」

鳴子くんが私の手を握り締めて最高の笑顔で言ってくれた


ドキドキ

私の胸はその笑顔に、笑顔があまりにも眩しくてドキドキしていた

「っ‥‥」

顔が火照るのが自分でも分かる


すると鳴子くんはキョトンとして

「どないしたん」

と訪ねてきた


(こんなんじゃダメだよね。よしっ)


ギュッ

私は緩みかけていた鳴子くんの手を握り締めた

そして叫ぶように相手の目を見て言った


「よろしくお願いしますっ」


(こんなドキドキは初めてで、大きな声出しちゃったのも恥ずかしい)


彼はもう一度私の手を握り返してくれて太陽のような笑顔を見せてくれた

ギュッ

ニコッ

「ホンマよろしく頼みまっせ如月さん
ワイの中学生活1番目の友達や」


(とも、だち‥友達!)


その言葉が嬉しくて自然と笑みが零れる

「‥うん!
これからよろしくね、鳴子くん」

鳴子くんに釣られてニッコリ笑うと鳴子くんは何故か頬を赤らめて下を向く

(かぁぁぁあ‥‥如月さん、めっちゃ笑ったらカワエエやん‥)


私は頭にハテナを浮かべるも、友達ってう響きがとっても嬉しくて
そんな鳴子くんをニコニコして見つめていた


まだ鳴子くんの視線は下を向いている

(待て、ワイなんか見つめられてんやけど‥恥ずかしいやん!こんな髪みたいに真っ赤になってるワイを見ぃんで欲しいわ)


手は握り締めたまま

「ん?鳴子くん?」

(私なんか変な事言ったりしたかな)


すると、バッと顔を上げた鳴子くん


「‥反則やで」

(ワイは何を言うとるん‥!)

また頭にハテナを浮かべる私

すると鳴子くんは なんでもないと言っていつもの調子に戻り、家の中の整理を手伝ってくれると言ってくれたので私は甘えることにした








とりあえず‥とりあえずね‥‥





人生初めての友達が出来ました




「ねぇねぇ、鳴子くん」

「なんや」

「さっき私のことチビって言ってたけど
鳴子くんも小さいですよね」

「ぶっ
ワイよりちっさいクセにワイにチビって言わんといてくれる!?
如月さんオモロイなー」

カッカッカ

鳴子くんの豪快な笑い声に私もつられてクスリと笑った
 

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