弱虫ペダル 過去編

□drei
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「はい どーぞ」


「なんや ええ匂いや」

「紅茶飲めるかな?
私の好きなアールグレイなんだけど」

「そんな洒落たもん鳴子家では飲んだこと無いわ
初めてや」

「蜂蜜もあるから
ストレートが嫌なら言ってね」

「ありがとうな」

ニコッ

ドキッ

(人と接することなんて殆どなかったからかな?なんか鳴子くんの笑顔にドキドキするよ )

「うまい、うまいで!
おかわりあるんか」

「あ、うん
今用意するね」

「次、蜂蜜入れてや!」

「はーい」

楽しそうな笑顔で微笑んだ

ドキッ

(めっちゃええこやないか
ワイなにドキッとしとんねん)


「あ、せや
今日うちで晩御飯食べへん?」

「え、いや迷惑になるから‥」

慌てて両手を前に出して左右に振る

「遠慮せんでええ
おかんが 如月さんのこと気に入っててな
あの可愛いお嬢さんどこのお姫様や
べっぴんさんやわー
話聞きたいわー
って言っとったで カッカッカ」

「いや、そんな
お姫様なんかじゃないよ
しかも可愛くないよ」

ほんのり頬を赤らめて否定する

「ホンマのこっちゃ
ま、ワイんとこ兄妹多いし騒がしいかもしれへんけど来てくれや
お隣さんやし
とりあえずワイの家族の顔だけでも覚えとってくれ」


(今言ったホンマのことって何についてのホンマのことなのかな‥)

頭の中が初めての事だらけでプチパニックになる


「んー挨拶は大事だしね
分かった
ありがとう鳴子くん
‥兄妹沢山いるんだね
会いたいかも!」


困った顔の後に微笑んだ

ニコリ

(っ‥‥またドキッとした
なんやねん
ワイの心臓なんやねん)

「あ、紅茶に蜂蜜入れたのどうかな
やっぱ甘い方が好きですか?」



「お、丁度良い甘さや
ワイはこっちの味の方が好きやな
あ、せやけど如月さんの出してくれるもんなら何でもイケるで」


「そんな大袈裟だよ
大したもんじゃないし
ただの紅茶ですし
ははは」

「スーパーの安いパックになっとる紅茶しか飲んだことなかったんや
自分から進んであんま飲まんし
如月さん家にお邪魔する機会多くなると思うんで、そん時はこの紅茶淹れてくれ」


その言葉に私は耳を疑った


「ん‥ え 、紅茶はいいけど‥
私の家にまた来てくれるんですか‥?‥!」




ブッッ

鳴子くんが紅茶を吹き出した


「当たり前やんけ
ワイらお友達やし、家隣やし」



(ともだち)


その四文字が私の胸を熱くさせる

後付けで鳴子くんが

あと、ワイに変な敬語使わんといて
気も使わへんでええよ

と言っていたけど何となくしか耳に入ってこない

だって、、、

段々目尻も熱くなってきて雫がこぼれないように必死だったから、、、


必死だったけど、、、

ポロリ

「‥‥っ」

気付いたら堪えていたそれは溢れ出ていた


「‥うっ‥っ‥」



「って如月さん
ワイの話聞いとりますっ‥‥て
どうしたん?!
ワイなんか変なことゆーた?!」


ぐっすん


鳴子くんがそわそわして私の異変に気付き顔を覗き込んできた


「ううん
だいじょ、うぶ 大丈夫だよ‥っ」


「は、ハンカチ」


「ありがとっ」


ポケットからハンカチを出して私に渡してくれた


「ちり紙!
はい、ちーんして ちーん」

次にティッシュで私の鼻水を拭おうとしてくれたけど、さすがにそれは恥ずかしくて‥


「鳴子くん、自分でやるから大丈夫だよっ」


「あああ、すまん」

慌ててる鳴子くんが面白くて、ちょっぴり可愛くて‥


「ふふふっ」


自然に笑いが溢れた


「な、なんや
泣いてたと思うたら次は笑うて
自分器用やな‥」


「あははっ
だって、そんなに鳴子くんがアタフタするとは思わなくて
ごめんね?
ちょっとそんな鳴子くんが可愛くて」


「は?!
ワイ本気で余計なこと言うてまったかとおもーて
ぎょーーーさん心配したし、不安になったんやで」


「本当、ごめんね
嬉しくて
友達 って響きが‥」


「え?」


「言ってなかったけ
私ね、今まで友達が出来たことなくて

だから鳴子くんが私のこと友達だって思ってくれて、口に出して友達だって言ってくれて
なんまら嬉しい」



「‥せやったんかい
なんか色々事情がある家庭なんやな
如月さん家は」

(今は触れんとこ。友達ゆーても今日会ったばっかやし)


「もう少ししたら私のこと話すね‥
まぁ私のことなんか知ってどうするのって話かもしれないけど」



「そんな事ない
友達のこと深く知りたいの当たり前やろ
あ、そや
さっき なんまら ってゆーてたな‥
北海道だかの方言なん?」














‥‥‥‥

それから少し北海道のお話をして盛り上がった

なんまら っていうのは すごく や 超 って意味だよって教えたり


あんまり方言は北海道にいた頃から使ってなかったけど
使わなくても日常で聞いていたら自然に覚えるし
口にしちゃうし‥


特に気持ちが盛り上がったり、瞬発的になった時は方言が出てしまうかもしれません




あの後直ぐに夕御飯の時間になって鳴子家にお邪魔させて頂きました



鳴子家は暖かかった

すごく、すごく


兄妹も可愛かった


初対面の私にこんなに暖かく優しくしてくれるなんて、

こんな嬉しいことは無かった



定期的に、毎日でもいいから来なさいって鳴子くんのご両親が言ってくれたり


まだ小さい弟くんや妹ちゃんにも

お姉ちゃん毎日来ていいよ

なんて言われたり



なんだか

私今とても幸せですーーー





ありがとうーーーー




大阪に来て心から良かったーー



学校生活にも期待していいよねーーー

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