弱虫ペダル 過去編

□vier
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ドヤッ

「じゃーん
これがワイの愛車イタリアフレームメーカーの名門
ピナレロちゃんや」


鳴子くんの乗っているロードバイクは赤いフレームが特徴のピナレロっていうものらしい

自慢気に愛車を紹介してくれた


「うわぁ
赤くて素敵だね」

ナナも瞳をキラキラにして話す


すると鳴子は嬉しそうにした


「せーやーろぉぉぉ
如月さんの方こそ
この良さが分かるなんて素敵や」


ドキドキ

(‥鳴子くんに素敵って言われた なんか嬉しい いや、ノリで言われただけなんだけど‥‥でも嬉しっ)




「ちょーっと練習場まで距離あるけど、自転車乗ればすぐや!
如月さんもその愛車でピューっとぶっ飛ばそや」



「頑張って浪速の天才スピードマンの鳴子章吉くんに着いて行くね」

ニコッ



「‥‥お、おう」


(かぁぁぁーーーっ フルネームで呼ばれたーーーしかも称号覚えてくれて嬉しいわぁ)



(あれ、鳴子くん‥なんか大人しくなった)










ーーーーーーーー



久しぶりに自転車に乗る


新しい自転車では初めて


そして、新しい土地で

初めての友達と‥‥‥


っていうか‥‥


「んんん‥なるこく、ん‥はぁはぁ‥‥」



(ちょっと…速いよ‥鳴子くん‥)




「如月さん もうすぐや!
もう着くでー」




「‥う、うん‥」




着いて行くのだけで必死なナナであった








ーーーーーーーーー





目的に到着








ゼェーハァー ゼェーハァー


「‥自転車、ひ、久しぶりだったし
たの、しいけど‥なるこく、速いし‥疲れた‥はぁはぁ」



「カッカッカッ
如月さん お疲れさん
ほれ」



「ん ありがとう鳴子くん」

ナナはスポーツドリンクをもらった



ゴクゴク



「こっからはワイのステージや!
如月さんはゆっくり休んで、帰りに備えときぃ
そして、ワイの事全力で応援してくれたらええ」



(あ、鳴子くんのオーラが変わった
さっきまでとは全然違って‥なんていうかメラメラと炎が燃え上がるような‥)


「あのね、鳴子くん
全力で応援してたら休む暇ないと思うんだけど‥あはは」


「あ、せやな
如月さんツッコミ上手いな カッカッカッ」



「ふふっ」



少し穏やかなムードになったけどそんなの束の間だった





「よぉ、鳴子‥おっと今日はそんな異国のお姫様連れて来て何がしたいんや!ギヒィ」



「早速現れたな
クマダンゴ!」


「オレ様は熊田だ!ボケェ」



「なんでもえぇ
図体デカイんやからクマダンゴで十分や
あと、この姫さんカワエエやろ
お前にはやらんで」



「ほう、言ってくれるな
おチビちゃん‥なら、そのカワエエお姫様賭けて勝負しよか ギヒィ」



不気味に熊田が笑う


「‥望むところや」




一方ナナはよくわかっていない様子



「あ、あのぅ‥‥
私お姫様とかそんな可愛い物語のヒロインじゃないんで
賭けとかそういうのも‥あの‥なんていうか‥‥」


「あんっ?!」


熊田がギロッとナナを睨む




「ヒィィ」

(ううっ‥‥なにがなんだか分かりません‥。とりあえず意味ないと思うんですけどが言えない。クマダンゴさんの目が怖くて‥‥)


咄嗟に鳴子の後ろに隠れしがみついた

ギュッ



「大丈夫やて

おい、森のクマさん
姫さん怖がっとるさかい
そんな目付きで、か弱きお嬢さん見るのやめてくれへん
それとも、取って食う気か」



「ギヒヒッ まぁ、姫でも嬢ちゃんでも何でもええわ
オレ様がこの勝負に勝ったらその姫さんの唇を頂こう‥ギッヒッヒッ」

熊田は自信満々に下卑た笑いを起こし鳴子に戦線布告した



「フッ‥‥そんなことさせへん
なんたってこの勝負ワイが勝つからな」


「ほぅ‥おもしれー
おチビちゃんが勝ったらどーするんや?ギヒッ」




(え、ちょっと待って‥‥
なんか勝手に2人して私を、私なんかを賭けてる?!
悪いけどこんなクマみたいな人に私のファーストキス奪われたくない)


ギュッ‥


ナナは内心、熊田に対して酷いことを思いながら
自分が賭けになっていることに不安を覚え、鳴子の背中にもっと強く抱きついた



「ごめんな、如月さん
勝手に勝負に巻き込んでしもーて」


「‥ううん」



「そやな、森のクマさん‥‥
ワイが勝ったら二度とこのコースに姿現すなやボケェーー!」



その発言に熊田はキレる



「はぁ?!なんやねんそれ」



「正直、アンタのせいでみんなこのコース使いづらなってんねん。
タダでさえ図体デカくて、顔もマジもんの熊みたいで‥オマケに今みたいに人を賭けにして‥傷付けて、何人の女の子泣かせてきたんじゃボケコラ」



鳴子は熊田が勝負の賭けに沢山の人を利用してきてたこと、傷付けてきた事に腹が立っていた様だ


それを聞いて熊田は豪快に笑う



「ギッヒッヒッヒッーーッ
オレ様の賭けに従って来て、オレ様との勝負に敗れた弱者達が何を言うとるん
みんな自分の女にエエ所見せようと必死こいてペダル踏んで負けて、クッ‥はははははっ」



ナナは熊田の異様な様子に震える


「な、鳴子くん‥やめようよ。こ、んな賭け」


「大丈夫や如月さん」


ギュッ


鳴子は一言そう言って自分の腰回りにあるナナの手を強く握った



(‥もし、鳴子くんが負けたらわたしこの人にファーストキス持って行かれるんだよ?遊びで私のファーストキス‥。そんなの嫌だよ。女の子は誰だって好きな人としたいものだよ‥鳴子くんを信じたいけど‥信じたいけど不安だよっ)



ナナが静かに口を開く


「‥‥た、いけど
信じたいけど‥‥こんな大きな体格の人に、こんな小さな鳴子くんが勝てるの‥‥??」



それを聞いて鳴子はいつものトーンで笑う



「カッカッカ
如月さん、ワイは浪速の天才スピードマンやて言ったやろ?
小さいは余計やけど‥余計やけど、小さい方が有利な場合もあるかもしれへん

ワイはそれを糧にいつも前を向いて練習しとんねん
ワイが絶対、ぜーーったいに勝つから

だから見といてな、如月さん」

ニコッ



ドキ ドキ


「っ‥」

私はその笑顔に赤面をした

何回もその笑顔に私の心臓はドキドキしてるけど‥‥
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