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□ピストル
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「拓海くん」

「なんだ」


小柄な少女が指で銃をかまえる仕草をしながら俺の名前を呼ぶ



「手をあげなさい」

「なんでだ」



こいつは本当に突然意味がわからないことを言い出す

片目をつぶりながら狙いを定めるようにこちらを見ている 正直可愛い


「いいから早く」

「……」



とりあえず小さくバンザイ

一瞬なにやってんだと思ったが上目遣いで睨みつける愛くるしい彼女に意識を集中させる



「そのまんまだよ、そのまんま……」



ぶつぶついいながらじりじり寄ってくる彼女

何するつもりだ

彼女との距離がどんどん狭くなる


2m
1m
30cm



ギュッ



腹部に暖かい感触

腰に回される小柄な腕

ほのかに香るシャンプーのにおい




「捕まえた」




そう言って目を細めにっこり笑いかける彼女




心を打ち抜かれる音がした

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