7番目の幻想

□自らの意志で
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無事に下水道と、その先にあった列車墓場と呼ばれる場所を抜けると七番街へとたどり着いた。

「よかった! まだ柱が立ってる!」

4人の前に現れたプレートを支える柱は無傷だった。

「そうだな、柱はまだ無事だ。でも…」
「…銃声、か」

クラウドがルタリスの言葉を継いだ。ルタリスは苦い顔で頷く。
柱からは無数の銃声が聞こえてくる。これは、明らかに人間同士が戦っている音である。

柱を見上げたその時、ルタリスは1つの人影が落ちてくるのに気づいた。
あの高さから落ちたら、確実に助からない。
とっさに重力魔法を唱えた。
人影が地面に激突する事態は免れたものの、遠目からでもその人がひどい傷を負っているのが見てとれた。

「ウェッジ!」
「大丈夫か、ウェッジ!」

ティファとクラウドがその人に駆け寄り、エアリスも2人の後に続いた。野次馬も集まってくる。
ルタリスは少し離れたところから彼らを見守った。



「登るぞ!」

クラウドがウェッジと呼ばれた男と少し言葉を交わした後、柱を見上げて言った。

「エアリス! ウェッジを頼む」
「うん、任せて」
「私からもお願いがあるの。この近くにセブンスヘブンっていう私達のお店があって、そこにマリンっていう小さな女の子がいるから…」
「その子を安全な場所に、ね。わかったわ」

エアリスは頷くと、振り返ってルタリスを見た。

「お姉ちゃんは?」
「私は上に行こう。相手が神羅なら何か役に立てるかもしれない」
「エアリスと一緒じゃなくていいのか?」
「ああ。確かに少し心配だが、エアリスは強いからな。大丈夫だ」

ルタリスはエアリスと強く頷き合う。

「そうか…じゃあ、頼む」
「任せろ」

行くぞ! というクラウドの言葉を合図に、柱に沿って上に続く階段を登り始めた。


***


ルタリスはクラウドとティファの後ろを駆けていた。その顔には苦悩の色が濃く滲み、そして謎の悪寒に身体を震わせていた。

記憶を失くしてからこんなに激しい戦闘を見るのは初めてだ。…人の血を見るのも。
昔は、嫌というほど見ていただろうに。正直な話、今は人同士の戦いも人の血も見たくなかった。



上まで登る間に、何人もの力尽きて倒れた人を見た。その中にはクラウドとティファの仲間もいれば、敵の神羅兵もいて。2人は仲間を見て悲しみ、敵を見て怒りをあらわにしたが、ルタリスからするとどちらも同じ命だった。

そして、やはりクラウドとティファが所属している組織がアバランチなのだと確信した。さっき会った女性が自分達の作戦でたくさんの人が死んだ、と言ったからだ。
最近あった人がたくさん死ぬような事件といったら、昨日の壱番魔晄炉爆破事件しかない。爆破そのものより、二次被害が相当なものだったと聞く。
それに神羅のお偉いさんが動くということは、それだけ派手なことをやらかしたということだ。魔晄炉が爆破されたとなったら、神羅も黙ってはいられないだろう。
…もっとも、プレートを落とすなんて言語道断だが。


ようやく一番上へたどり着くと、そこでは右腕が銃になっている男が1人奮闘していた。彼が何度も話に出ているバレットだろう。

「バレット!」
「おお、ティファ! クラウドも来てくれたのか! 気をつけろ、奴らヘリで襲ってきやがる!」

ふと彼と目が合った。そして、アンタ誰? みたいな顔をされる。

ルタリスは自分に何も変化が起きないことから、過去に彼との面識はないのだろうと思った。
クラウドがバレットの視線に気づき、ルタリスについて話そうとしたその時。
側面に神羅カンパニーのロゴが描かれたヘリが4人のいる場所へ向かってきた。

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