7番目の幻想

□“英雄”を探して
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『セフィロスは生きている。俺は…あの時の決着をつけなくてはならない』
『おっし、俺は行くぜ!』
『私も、行く。知りたいこと…あるから』
『さらばミッドガル、ね』



「どうしたの、クラウン?」
「あ、ナナキ。いや、ミッドガルを出た時のことを思い出してただけだよ」

クラウンとレッド]Vの2人(?)はカームの宿屋にいた。ここまで一緒にやって来たクラウドとエアリスは、別行動のティファとバレットを迎えに外へ行っている。

実はこの2人、人ではない者同士ということでとても気が合い、2人だけの秘密として互いのことをたった今暴露しあったところである。
クラウンは、自分はルタリスが大事にしていたぬいぐるみそのものであるということを。
レッド]Vは、自分は大人のふりをしているが本当はまだほんの子どもだということと、本名はナナキだということを。
そして、他のみんなにはナイショだよ? とくすくす笑い合った。

クラウンは、純粋に嬉しかった。
ただのぬいぐるみにすぎなかった自分に、秘密を言いあえるような友達ができた。ルタリスは単純にみんなを見守ってほしい、という願いだけで自分をクラウドに預けたのだと思うが、結果的にすごくいい経験ができた。
ルタリスと再会したらお礼を言おう、とクラウンは思ったのだった。


***


「さぁて…聞かせてもらおうじゃねぇか。セフィロス、星の危機。おまえが知っていることの全てを」

無事ティファとバレットとも合流し、全員が宿屋に集まってすぐのこと。バレットが真っ直ぐクラウドを見て言った。

「…俺はセフィロスとルタリスに憧れてソルジャーになったんだ」

クラウドはゆっくりとセフィロスとの因縁…自身の過去を語り始めた。


***


クラウドの話を全て聞いた後。みんなはおのおのの部屋へと行ったが、クラウンはその場に残っていた。近くには同室のレッド]Vことナナキ。
クラウンは、クラウドの話に強烈な違和感を覚えていたのだ。


…あの任務の時、ソルジャーは4人もいただろうか?

正直なところ、あの時ルタリスはあまり多くのことを話してくれなかったから、クラウン自身もよくわからないのだ。知っているのは、ルタリスとセフィロスが神羅屋敷の地下で彼らの出生について知ったところまで。
そして部屋を出ていった2人は戻ってこなかった。

その後に起きたことは後にリーブが教えてくれた。そして、今クラウドが話したことは、彼が教えてくれたことと一致していた。

――セフィロスがニブルヘイム村に火を放った

クラウドの話によると、その時ルタリスはすでに魔晄炉にいたらしい。つまり、村に火を放ったのはセフィロス1人だということだ。だからルタリスに罪はない、とクラウドは言った。
それに、クラウドがセフィロスを追って魔晄炉に入った時、ルタリスはティファを庇うようにして倒れていたという。彼女の体…特に右腕―その当時はコートではなくソルジャーの制服を着ていたから腕が見えていたのだ―には深々と真新しい傷があり、クラウドは彼女がセフィロスにやられたのだとすぐにわかったと語った。そして、彼の記憶はセフィロスと対峙したところで途切れていた。

クラウンが魔晄炉内での出来事の話を聞くのは初めてだったが、やはり違和感を感じた。そして、その当時その場にいたもう1人の人物―ティファが険しい顔をしているのを見て、自分の感じている違和感は間違いではないのだと確信したのだった。



「クラウン? 行かないの?」
「あ、ごめん。今行くよ」

ナナキに急かされたクラウンは、ぽんと彼の背中に飛び乗った。

違和感だらけだが、今それについて考えていても仕方がない。いずれわかる時が来るだろう。それに旅人の朝は早い。
部屋に着いたらナナキとおしゃべりでもしながら早く寝てしまおう、と思った。

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