7番目の幻想

□“英雄”を探して
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「クラウン。あんた、なかなかやるな」
「うん! すっごい頼りになるね!」
「え、そうですか? そんなこと言われたら照れちゃいますよ〜!」


カームの宿屋で語り合った翌日。一行はクラウド、エアリス、クラウングループとティファ、バレット、レッド]Vグループに分かれて先へ進むことにした。
昨日みたいな4・2グループではなく3・3グループになったのは、色々話し合った結果、みんなが自分のことを信じてくれたからだろうと思うとクラウンは純粋に嬉しくなるのだった。
ちなみにクラウンは今、エアリスがカームで購入した濃い青の肩かけバッグの中に落ち着いている。エアリス曰く『ちょうどよかったから』。



「ね、どうしてあなたの魔法ってそんなに強力なの?」
「え、どうしてって、う〜ん……
これのおかげ、でしょうか?」

クラウンは首元に光る小さなマテリアに触れた。無色透明のかなり小さいマテリアである。

「あ、これ! お姉ちゃんのペンダントに付いてたあれ?」
「ルタリスのペンダントに付いてたものじゃないですけど、同じ種類のものですね…たぶん」
「それ、何のマテリアなんだ?」
「実はよくわからないんですよ。そもそもマテリアなのかすらも謎です」
「ただのきれいな石かも?」
「そうかもしれないです。でも、何にせよルタリスがくれたんですから、ボクの大事なお守りに変わりありません」

そうだよね、とエアリスはクラウンを撫でる。

クラウンは誰かに撫でられる時、とても嬉しそうな顔をする。その姿はぬいぐるみロボットというより本当にネコみたいだ、とクラウドは思った。


***


クラウドグループは、平原にぽつんと佇んでいた牧場にやって来ていた。そしてクラウドは牧場の主に色々と話を聞くために建物に入っていった。
残されたエアリスはクラウンを連れて、放牧されている黄色い大きな鳥に近づいていく。

「わぁ! これがチョコボ? かわいい!」
「ああ…ルタリスはチョコボの扱いも上手ですよ」
「へぇ〜、そうなんだ!」

エアリスは感心しながらバッグの中のクラウンを見下ろした。
が、肝心のクラウンは完全にバッグの中に隠れていた。

「どうしたの? もしかして、チョコボが怖い?」
「あ…そ、そうかもしれません…。なんか、頭を出したらつつかれそうな気がして…」
「大丈夫よ、こんなに人懐っこいんだもの!」
「…ボク、人じゃありません」
「もう! そんなこと言わないの!」

エアリスは嫌がるクラウンをバッグから引っ張り出し、チョコボに触らせた。

「ほら、大丈夫でしょ?」
「あ、そ、そうですね」

クラウンと目が合っても、チョコボが襲ってくる様子はなかった。むしろ、クチバシを撫でられて機嫌が良さそうである。

「…案外、可愛いかもしれません」
「ほら! そうでしょ!」

突然、クエッ! とチョコボが鳴いた。クラウンはびっくりして手を引っ込める。
チョコボは軽やかに放牧場の真ん中へ駆けていき、何かをくわえると2人のもとへ戻ってきた。
チョコボがくわえていたのは、紫色のマテリアだった。チョコボはそれをぽとりとクラウンの手の上に落とす。

「え…これ、くれるの?」

クエ〜ッ! とチョコボはひと鳴きすると、すたすたと走り去ってしまった。

「なんか…くれたみたいです」
「すごいじゃない、クラウン!」

エアリスはくすくす笑っていた。クラウンは照れたように頭をかく。

まさか自分がチョコボに気に入られるとは。もしかしたら今後何かの役に立つかもしれない、とクラウンは思った。

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