7番目の幻想

□幾つかの再会
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ルタリスにとっての新顔、レッド]Vとユフィについては、クラウンが上機嫌で教えてくれた。どうやらこの小さな相棒は2人(?)とは特に仲が良いようだ。
レッド]Vの背中の上にちょこんと乗ったクラウンにユフィがちょっかいを出して遊んでいる。その楽しげな様子に自然と笑みがこぼれてきた。


次の目的地…といっても『西』という方角しか決まっていなかったが、そこにたどり着くまでひたすら歩いた。道中賑やかな話し声(主にユフィとクラウン)が絶えることはなく、なかなか楽しかった。

しかし、突如現れた魔晄炉から続く炭坑跡ではハプニングが多発した。
老朽化したかつての線路からエアリスが落ちそうになったり、実際に壊れてクラウドが落ちたり(登ってくる時にちゃっかりアイテムを手に入れていて正直呆れた)、入り組んだ線路でなぜか迷子になったユフィがとんでもない場所にいたり。ルタリス自身も橋を下げるために入った小屋で思いきり頭をぶつけてしまい、後ろにいたクラウドに「災難だな」と言われてしまった。ルタリスは、笑いながら言うな! と言い返してやった。

最後に長い吊り橋を渡ってたどり着いたのは、かなり廃れた村だった。
男が1人、突然やって来たルタリス達に目を向ける。彼はバレットに気づいた瞬間、「貴様…」と呟き、そして大声を挙げた。

「おーい、ヤツが戻って来やがったぜ!」
「…みんな。ここで待っててくれ」

バレットは走り去る男の背中を見つめながら言った。そして村の中へ入って行った。

「あんな悲しそうなバレット…初めて見たわ」

ティファがぽつりと呟く。

「因縁、って感じだな。私達はあまり深入りしない方がいいだろう」
「このまま放っておけって言うの?」
「ティファ、勘違いするな。もちろん、助けを求められたら協力する。それまでは、そっとしておいてやろう」

でもきっとバレットは助けなんて求めないだろう、とルタリスは思った。聞こえてくる怒鳴り声と謝罪の声からしても、きっとそうだろう。



何とも皮肉なことに、この退廃した村からは世界最大の娯楽施設ゴールドソーサーへ続くロープウェイが出ているらしい。
一行はそのロープウェイ乗り場へ向かった。

「みんな…さっきはすまなかったな」
「バレット…何があったんだ?」
「この辺りには俺の故郷があったんだ――」

ルタリスはそっと皆の傍から離れた。柵に肘をつき、荒れ果てた村と大地を眺める。
乾いた風が吹き、彼女のコートとペンダントを揺らす。

「ルタリス? どうしたんですか?」
「ああ…クラウン」

ルタリスは足下にやって来たクラウンを抱き上げ、肩の上に乗せた。

「コレルって、魔晄炉が爆発してこんなになっちゃったんだよな」
「そうですね。確か4年前です」
「…魔晄炉、か」
「ルタリス?」
「…どうも好きになれないんだ」

クラウンは深いため息をついたルタリスを見て、思う。


――無理もないですよ
――あなたの過去に深く関わっているんですから……



「おーい、あんたら! ゴールドソーサーに行くなら早く乗っておくれ! 料金は必要ないからね!」

重い空気に包まれていたロープウェイ乗り場に響く声。場違いだな、と思ったが、本当に場違いなのは自分達の方だ、とルタリスは思い直した。
ここは、あのゴールドソーサーに続く場所なのだから。

「じゃあ…行くか」
「はい!」

ルタリスはクラウド達に続いて、クラウンと一緒にロープウェイに乗り込んだ。

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