7番目の幻想

□華やかで暗い場所
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ゴールドソーサーの多重構造に迷いながらも事件現場のバトルスクェアにたどり着いた時、すでにそこには立ち入り禁止のラインが引かれ、人だかりができていた。警備員がその人々を追い返そうと躍起になっている。

おーい、と誰かに呼ばれた気がして、ルタリスとエアリスは周りを見渡した。

「エリーゼさん、エアリスさん! こっちです!」

自分達の名前を呼ぶ声の方を見ると、そこにはクラウンと、彼に口を押さえられたユフィとレッド]Vの3人が。ユフィが口を押さえられているのは、おそらく自分を“ルタリス”と呼びそうになったからだろう。
確かにこんな人だかりの中でその名を出されたら困る。クラウン、ナイス。

「クラウン、何があったんだ?」
「わかんないです。ボク達が来た時にはもうこんな感じでした」

ルタリスはそうか、と呟くと、一番近くにいた警備員に声をかけた。

「ここで何があったんだ?」
「あ、ここはまだ危険ですので、離れてください」
「教えてくれ。誰か射殺でもされたのか?」

射殺、の一言に警備員ははっとしたようにルタリスを見た。ルタリスは小さく笑って首を振る。

「そんなに驚くな。微かに血と火薬のにおいがする。どちらも…ずいぶんな量だな」
「あ、あなたは何者…?」
「戦いに慣れている者だ。教えてくれ。犯人は捕まったのか?」
「は、はい。全員すでにプリズンへ送られました」

ルタリスはそこで1度大きく深呼吸をした。

「…そのうちの1人は、金髪のツンツン頭だったりするか?」

警備員の目が大きく見開かれた。
アタリだ。

「な、なぜそれを…」
「彼は私達の仲間なんだ」
「ちょ、ちょっと!」

ルタリス、とまた言いそうになったユフィの口を押さえる。

「私達もプリズン送りにしろ。仲間というものはな、運命共同体なんだ」



ここからは早かった。ルタリス達5人は拘束こそされなかったものの、何人もの警備員に囲まれ、プリズンに続く穴へと連れていかれた。そしてルタリス以外の4人が先に落とされた。クラウンなんて、まるでゴミでも捨てるかのように穴に放り込まれてしまった。これはひどい。
自分もすぐに落とされるものかと思ったら、そうはいかないようだ。警備員達は何やらひそひそ話をしている。

「私だけ残して…一体何のつもりだ」
「…いや」

警備員の1人が口を開いた。さっきルタリスが声をかけた警備員だ。

「あなたは…もしかしてルタリスさん、ですか?」
「…人違いだよ。よく間違えられる」
「あ、そうなんですか。それは失礼しました」

ルタリスは内心動揺した。あなたはルタリスですか、なんて尋ねられたのは初めてだった。

「…なんでそう思った?」
「なんでって、あなたがルタリスさんにそっくりだからに決まってるじゃないですか。茶髪に緑の瞳、そしてロングコート。戦いにも慣れているとおっしゃっていましたし。それに、セフィロスさんがここに来たらしいので、もしかしたらルタリスさんも来たのかなって…」
「おい、何をしているんだ!」

上司らしい警備員に一喝され、彼は一瞬びくりとした。

「すみません、そろそろあなたも下に落とさないと…」
「何をそんなに気にするんだ? 私は罪人だぞ?」
「…あなた達が悪い人にはとても見えないんです」

意外な言葉だった。真実を見る目を持つ者がちゃんといた。
ルタリスは小さく笑って警備員の肩を叩くと、自ら穴に飛び込んだ。そして、思う。


――セフィロス…やはりここに来ていたのか


***


ふわりとルタリスが着地したのは砂漠だった。目の前に広がる荒れ果てた集落は、ロープウェイ乗り場の前にあったコレル村によく似ていた。

「お姉ちゃん!」
「ああ、エアリス。怪我とかしてないか?」
「うん、だいじょぶ。お姉ちゃん、ちょっと遅かったね。何かあったの?」
「いや。正体がバレそうになったから、適当にごまかしてきただけさ」

ルタリスは笑うと、レッド]Vに視線を移した。

「レッド、クラウド達の居場所はわかるか?」

レッド]Vはわずかに上を向き、鼻をひくひくと動かした。

「向こうだ。クラウド、ティファ、バレットの3人が向こうにいる」

そう言って北東の方向を見る。

「よし。ナイスだ、レッド」

ルタリスはレッド]Vの頭をくしゃっと撫でて北東へと駆け出し、皆もそのあとに続いた。

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