7番目の幻想
□ジャングルに潜む村
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ルタリスはバギーを運転していた。同乗者はクラウン、レッド]V、ユフィ、ケット・シーという何だかちぐはぐなメンバーだ。他の仲間達は目の前のクラウドが運転するバギーに乗っている。
ダインが自ら身を投げたあの後。一行はコレルプリズンの中心部へと戻り、“シャバ”へ戻るためにチョコボレースに参加することになった。そのチョコボレースでクラウドが奮闘し、何とか優勝。一行は晴れて自由の身となった。バギー2台は先の事件の真相を知った園長からのプレゼントである。
そして今。その園長がセフィロスがゴンガガへ向かったという情報をくれたため、一行はそこへと向かっているのだ。
走り始めてすぐにユフィがダウンしたのは意外だった。ユフィは乗り物酔いがひどいんです、というのはクラウン談。今はそのユフィの介抱をしている。レッド]Vはそんな2人を見守っていた。助手席にいるのは新参者のケット・シーだ。
そう、ケット・シー。
自分の相棒をそのまま大きくした見た目。ただしマントの色は赤。
「なぁ、ケット・シー」
「はい、何でしょか?」
「何で付いてきたんだ?」
「それはクラウドさん達の占いの結果が気になるものだったからですな〜」
「へぇ、占いなんてやるんだ。何か占ってみてよ」
「やりますか? 何占いましょ?」
「じゃあ…探し物について」
ケット・シーが了解! とおどけて敬礼すると、デブモーグリが口から紙を取り出した。ルタリスはそれを片手で受け取る。
「……そうか。必ず見つけられる、ってか」
ルタリスはなぜか苦笑した。
***
バギー2台は川を越えた先のジャングルの前で止まった。このジャングルの奥にゴンガガ村がある。
さすがにバギーをそのまま放置しておくのは心配なため、ゴンガガにはルタリス、クラウド、エアリス、ティファの4人で行くことにした。
ジャングルは至って静かである。おそらくセフィロスはいないだろう。
村へ続く道の途中、突然ルタリスが立ち止まり、小さく苦笑した。
「ルタリス? どうかしたか?」
「クラウド、静かに。面倒なヤツらがいる」
ルタリスは木々の間を指差す。3人は彼女が示す方を見た。
「ほら、見えるか? 赤髪とスキンヘッド」
「…ああ。あれ、タークスだよな?」
「そうだ」
何でこんな所にいるんだ…とクラウドが呟く。ルタリスがため息をついた。
「隠れなくてもいいぞ。そこにいるのはわかっている」
隠れる? 何のことだ?
3人がそう思ったその時だった。
「あ…バレてました?」
3人は驚いて振り返った。後ろに誰かがいるだなんて気づかなかった。
木の陰から出てきたのは金髪黒スーツの若い女性。以前自ら新人と名乗ったタークスのイリーナだ。気まずそうに頬をかいている。
「おまえの先輩達は何だ? 仕事そっちのけで恋バナなんてして」
「え、またですか? ほんっと、くだらないんだから…」
イリーナは呆れたように首を振る。と、急に思い出したようにあっ! と声を挙げ、先輩達の方へ走っていった。
「ルタリス? あの子と知り合いなの?」
「まぁね。イリーナにはちょっと世話になったんだ」
ルタリスは肩をすくめると、ちらりと生い茂るジャングルの木々を見て、言った。
「タークスは私が何とかするから、おまえ達は先に行ってくれ」
「1人で大丈夫なのか?」
「私を誰だと思っているんだ?」
「また連れ去られたりしない?」
「だから大丈夫だって」
クラウドとエアリスに心配され、ティファにも大丈夫なの? という視線を送られてしまった。ルタリスは意外と信用ないな、と笑い、半ば強引に彼らをジャングルへ押し込んだ。