7番目の幻想

□ジャングルに潜む村
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クラウド、エアリス、ティファの3人を先に行かせたルタリスは堂々と道の真ん中を歩いていく。タークス3人の注意を引かなければならない。

「おい、レノ」
「お? あ、エリーゼさんじゃんか!」
「今はルタリスだ。その調子なら怪我は大丈夫そうだな。心配して損した」

ルタリスは何か言いたそうなレノを無視し、ルードに久しぶり、と会釈をした。一言「ああ」と相変わらずの無愛想。うん、いつも通りだ。

「あれ、そういやあんたの仲間は?」
「別の道を行かせた。私はおまえ達の足止め」
「マジかよ、と」
「恋バナしてる方が悪い。諦めろ」
「じゃ、あんただけでも…」
「させるかよ」

ふ、とルタリスは意地悪く笑う。その瞬間、ルタリスに歩み寄ろうとしていたレノがつんのめって前に倒れた。
時間魔法ストップである。

「派手にこけたな」
「いてて…俺、ケガ治ったばっかりなんだぞ! てか、さりげなく後ろに下がるなよ!」
「ふふ…悪いな」
「ルタリスさん! な、何で私もなんですか!?」

イリーナが呪縛から逃れようと、もがきながら叫んでいた。ルードは眉間にしわを寄せているものの、じっとしている。無駄な抵抗をする気はないようだ。

「言っただろう? 私はおまえ達の足止めをするために残ったんだ」

ルタリスはくつくつと笑い、しゃがみこんでうつ伏せに倒れたレノと視線を合わせる。

「私がそう簡単に捕まると思うか?」
「…どっかで聞いたな、それ」

レノはまいった、と苦笑した。彼は以前、ルタリスのこの問いに『全然そう思わない』と返している。今も、その答えは変わらない。
ルタリスはコート下のポーチからペンと折り畳まれた紙を取り出し、それに何かを書き付けた。

「どうせルーファウスが何か言ったんだろ? これをあいつに渡してくれ」
「…おみくじ?」
「と見せかけた社長直筆の手紙。ケット・シーがくれたんだ」
「何て書いてあったんだ?」
「ケット・シーをむりやり私達に同行させたのは、私を監視するためっていう見苦しい言い訳さ。本当はスパイなんだろう?
…まぁ、このことはみんなには黙っといてやる。でも、あまりにも仲間達の邪魔をするようだったら…容赦はしないからな」

ルタリスの声には本気さが滲み出していて、レノは舌を巻いた。
ルタリスは立ち上がり、その紙をルードのスーツのポケットに入れ、村へ向かおうとした。そんな彼女をイリーナが呼び止める。

「あ、あのー、ルタリスさん? これ、いつ解けるんですか?」
「なに、そのうち解けるよ。そうだな……
ツォンにはルタリスにやられたって言えばいいさ。うん、あいつの苦笑が目に浮かぶな」

意地悪く笑ったルタリスは「リーブにもよろしく伝えといて」と言い残し、その場を去っていった。






(…なぁルード。デスペル…使えないよな?)
(……ああ)
(イリーナも…)
(ごめんなさい…使えないです…)
(ああッ! どんだけ効果続くんだよ! もう10分だぞ!)
(…ツォンさんがルタリスだけは敵に回したくないと言っていた意味がよくわかる)
(それ、すげー同感だぞ、と…)
(さすがは英雄、ですね…)

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