15番目の幻想

□星空
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ステラがカメラを持ってテントから出ると、焚き火の前でイグニスとグラディオが雑談をしているのが見えた。
ノクトとプロンプトの姿はない。
もう寝てしまったのだろうか。
…ノクトは十中八九寝ているだろう。
「ステラ、どうした?」
「んー、ちょっと星空の写真にチャレンジしてみようと思って」
「へぇ、おまえそんなにロマンチストだっけか」
グラディオが笑って茶化してくる。
でも、これはとっくに日常茶飯事。
「グラディオ、うるさいよ」
ステラも笑ってそれを受け流す。
「ステラー、待ってオレも行きたい!」
突然聞こえた声に振り向くと、プロンプトがカメラを持ってテントから出てきたところだった。
「プロンプトも行きたいの?」
「え、ダメ?」
「まさか!1人で行くのは危ないだろうから誰かに一緒に来てもらおうと思ってたところ。だからむしろありがたいよ」
「そう?ならよかったー!」
「頼りねぇな」
「ああ…確かに少しな」
2人の会話を聞いていたグラディオとイグニスが小声で言葉を交わした。
しかし、敏感にそれを聞き取ったプロンプトが2人に噛みつく。
「ちょっとー!グラディオはまだわかるけど、何でイグニスまでー?オレ泣くよ!?」
ステラは微笑ましいなぁ、と呟いて笑った。
みんな、もちろん冗談だとわかっているから、純粋に楽しい。
「なんだよ、うるせぇな…」
再び聞こえた声に振り向くと、そこには眠そうなノクト。
「…結局全員そろっちゃったね」
「じゃあさ、もうみんなで行っちゃわない?」
「プロンプト、それ、いいアイデア」
「ったく、オレらの意思は関係ないんだな」
「…イグニス、これ、何の話だ…?」
「ステラとプロンプトが星空の写真を撮りに行こうと話しているんだ。どうやらオレ達もつき合わされることになりそうだな」



「「あ!」」
カメラのセットを終えて、空を見上げていたステラとプロンプトが同時に声をあげる。
そして互いに顔を見合わせた。
「ね、今の見た?」
「見た見た!流れ星!うわーオレ初めて見たかも!」
「えーそれはないでしょ!」
「いや、ほんとだから!」
楽しそうに笑い合う2人を見て、ノクトはふいと顔を背けた。
グラディオが面白そうにノクトに声をかける。
「何だ、プロンプトに嫉妬してんのか?」
「な、何で嫉妬なんかしなきゃなんねぇんだよ」
「しっかりしてるじゃねぇか」
すっかりふてくされたノクトに、グラディオは豪快に笑った。
その笑い声を聞きつけたのか、ステラとプロンプトは一番近くにいたイグニスのもとへ戻ってきた。
「何でグラディオが笑ってるの…って兄さんも笑ってるし」
「ノクトを見てみろ。おまえならわかる」
ステラはよくわからないというような表情でノクトを見た。
が、すぐに納得したような表情になった。
「ああ…そうか、そういうことね。まったくもう…」
彼女は苦笑すると、言い争いを始めたノクトとグラディオのもとへ駆けていった。
「…やはり怖いな」
「え、ステラが?全然怖いとは思わないけど…?」
「確かにそうかもしれないが…おまえも気をつけた方がいい」
「あ、それって実体験?確かにイグニス、ステラに甘いからね…ってあれ、図星だった?」
すっかり黙り込んでしまったイグニスに、プロンプトはいたずらっぽく笑った。




(今度はさ、みんなで普通に星空鑑賞しない?)
(ステラ、それ、いいアイデア)
(へっ、パクってやがる)
(…全然わかんねぇ)
(お前は寝ぼけていたからな)


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