15番目の幻想

□first meeting―Prompto
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ステラは久しぶりにプライナと散歩に出かけていた。
珍しくプライナから散歩に行きたいと意思を伝えてきたからだ。
しかも詳しい場所まで指定をして。
ステラはプライナの願いに快く了承した。
プライナはアンブラがノクトとルーナのメッセンジャーを務めているように、ステラとレイヴスのメッセンジャーを務めてくれている。
しかし、アンブラが主にルシス王国の首都インソムニアと旧テネブラエを行き来するのに対し、プライナはインソムニアとニフルハイム帝国の首都グラレアを行き来している。
それは戦争真っ最中の2国間の首都を行き来するということで、何かと緊張が絶えないのが事実だ。
ステラはそんな大変な役を務めてくれているプライナにとても感謝している。
だから、できる限りプライナの願いは叶えてあげたいと思っているのだ。


プライナが指定した場所は何の変哲もない土手の上だった。
ステラにはそこが何か特別な場所には見えなかった。
ただ、ここの土手は犬の散歩やランニングをする人が多いらしく、賑やかではあった。
突然プライナは嬉しそうに一吠えし、尻尾を激しく振り始めた。
「プライナ?どうしたの、急に?」
プライナは一瞬ステラを見上げ、前を向く。
プライナにならって前を向くと、1人のランニング中の少年がやって来るのが見えた。
「こんにちはっ!」
すれ違いざまにあいさつをした少年に、ステラは軽く頭を下げる。
少年はそのまま通りすぎるかと思われたが、プライナに目をやると、立ち止まった。
「かわいい犬だねー!」
少年の顔には満面の笑み。
少年はしゃがみこむと、プライナの頭をくしゃくしゃと撫でる。
プライナも嬉しそうに尻尾を振り、少年の顔をぺろぺろと舐め始めた。
じゃれ合う1人と1匹を見て、ステラも笑みを浮かべる。
「珍しいなぁ、あんまり人になつかない子なのに」
「そ、そうなの?ってあは、やめてよ、くすぐったいって!」
プライナは何だかんだ嬉しそうな少年にまた一吠えすると、彼の胸に頭を擦りつける。
「名前何ていうの?」
「プライナだよ」
少年のプライナを撫でていた手が止まる。
「…プライナ?」
「そう、だよ…?」
少年は急に驚いたような声をあげ、立ち上がった。
「も、もしかして…あ、あなたは、ルナフレーナ様!?」
「…え?」
少年のあまりにも突然かつ予想外の言葉に、ステラは固まった。
どうして彼の口からルーナの名前が出るのだろうか。
少年はステラの反応を見て、慌て始めた。
「あー、ごめんなさい!何でもないです!今のは忘れて!!」
「ううん、いいよ。気にしないで…」
そう言いながら、ステラはある可能性に気づく。
「もしかして君は、プロンプト…?」
「え、な、何で知ってるの!?」
今度はステラの言葉に、少年―プロンプトが驚く。
「…そうか、そういうことだったのか!」
ステラは納得して、満面の笑みを浮かべた。
「ねぇ、今時間ある?ちょっとお話できないかな?」
「え?あ、うん、大丈夫…だよ?」
ステラはプロンプトの返答を聞くと、彼に手招きをして土手を半分ほど降りた。

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