15番目の幻想

□first meeting―Prompto
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「自己紹介、遅くなっちゃってごめんね」
ステラは隣に座ったプロンプトに声をかけた。
「私はステラ・スキエンティア。ノクティス王子の言詠みだよ」
「…え!!ノ、っ」
ステラはとっさにプロンプトの口を押さえ、人差し指を立てる。
「しーっ!大きな声出さないで!お忍びで来てるんだから」
「ご、ごめん…」
ふと、プロンプトは疑問に思った。
「あ、あのさ、ステラちゃん…?」
「呼び捨てでいいよ。何?」
「あ、うん。お忍びならさ、どうしてこんなところに?」
「ふふっ、やっぱりそう思うよね。私もそう思った」
「え、君の意思で来たんじゃないの?」
「違うんだな、それが。この子の意思なんだ」
ステラはプライナの頭を撫でる。
「えっ!犬の言葉わかるの!?」
「んー…まぁ、ね」
言詠みってすごい!と感心するプロンプトを見て、ステラは内心苦笑した。
確かに言詠みの力も関係しているけれども、一番大きな原因はプライナの正体だからだ。
「プライナはね、自分を助けてくれたプロンプト君にすごく感謝してる。だからお礼が言いたくてここに来たんだって」
プライナはステラの言葉を肯定するかのように吠え、またプロンプトの顔をぺろりと舐める。
プロンプトはくすりと笑い、プライナを撫でた。
「へぇ…覚えててくれたんだ」
「プライナ、驚いたってよ?すごく変わってたからって」
「あー…それも聞いたんだ」
「うん。この子、けっこうおしゃべりでね。プロンプト君のこと、たくさん聞かされちゃった」
「…何かごめんね?」
「ふふっ、何で謝るの?」
ステラはくすくすと笑った。
「何か君とは気が合いそう!」
「え、そうかな?」
「うん!自信を持って言える」
川は夕日を受けてきらきらと輝き、河原には小学校低学年くらいの子ども達が遊ぶ楽しげな声が響いていた。
ステラのその一言を聞き、プロンプトは決意した。
ぱっと立ち上がり、ステラの方を向く。
「あのっ!も、もしできたら、オレと…友達になってくれませんかっ!?」
ステラは急に頭を下げたプロンプトを見て、きょとんとした。
プロンプトはやっぱり急すぎたかと焦る。
しかし、突然声をあげて笑い始めたステラに逆に驚いた。
「そうだね!きっとここで会ったのも何かの縁だろうからね。いいよ、友達になろう!」
「いいの!?」
「もちろん!じゃあ、メアド教えてくれる?」
「え!?れ、連絡先はいいよ!」
「え、なんで?わざわざここまで会いに来るのは流石に嫌だよ?会いに来てとも言えないでしょ?」
「そうだけど…でもちょっと畏れ多いというか何ていうか…」
プロンプトの一言を聞いてステラは口を尖らせた。
「もうっ!そんなんじゃノクトと友達になんてなれないぞ?」
「えっ!?な、何で知ってるの!?」
「そのリストバンド!すごく見覚えある」
ステラはプロンプトの右手首のリストバンドを指差す。
「あー…これね」
「ノクトが迎えを待ってる時、こっそり見てたでしょ?車の中から見てたんだよ、私」
「そうだったんだ…全然知らなかった…」
「ノクトと友達になるの、手伝ってあげる。ていうか、むしろ友達になってあげてください」
ステラも立ち上がり、プロンプトに向き直る。
プライナは立ち上がった2人を交互に見つめていた。
ステラはプライナに微笑みかけると、言葉を続ける。
「ノクトね、友達がほとんどいないんだ。学校に至っては1人もね。ほら、ノクトは王子だし、しかも照れ屋だから…。プロンプトと友達になれたら、ノクトはきっと大きく変われる。だから…お願いします」
頭を下げたステラに、プロンプトは慌てる。
「あ、頭下げないで!上げて上げて!」
ステラはあたふたするプロンプトを見ると、くすくす笑いながら頭を上げた。
彼と目が合う。
にこりと微笑むと、プロンプトは照れながらもステラに笑い返した。
プライナも嬉しそうに尻尾を振って2人を見上げていた。

(じゃあ、最初にノクトがどの高校に行くのか教えてあげる。高校の入学式ってすごくいい機会だと思う)
(うん、やっぱりそうだよね。何かミッションみたい!王子と友達になれ!みたいな)
(そうだよ!プロンプトのミッションはノクトと友達になれ!で、私のは、目指せ飛び級!かな?)
(え?飛び級?)
(そう。2つ飛び級して、ノクトと同時期に同じ高校に入る。これが、私のミッション)
(え、2つってことは…ちゅ、中1なの!?)
(んー…、一応?でもよく言われるんだ。そうは見えないって)

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