15番目の幻想

□4:1は地雷だらけ!? ※
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一方、ステラとイグニス。
イグニスはプロンプトが離れていったのを見ると、ステラに声をかける。
「傷は深いのか?」
「え?そんなに深くない…と思う」
「…少し見せてみろ」
「え、こんなところで?」
「そうだな…少し移動するか」
イグニスはステラの手を引いて立たせ、ちょうど近くにあった岩の前へ連れてくると、そこに彼女を座らせた。
ステラは完全に彼と岩に挟まれ、仲間達からは姿が見えないような状態になった。
「何かあれみたい。いわゆる壁ドンってやつ」
「してほしいのか?」
「いやいや、今そういう状況じゃないから」
イグニスはふっと微笑むと、ステラの破れた服にそっと手を伸ばす。
「…だいぶ派手に破かれたな」
「ん…そうだね。改めて見ると自分でもびっくり」
幸い傷は浅く、胸の上の方を引っ掛かれただけに留まっていた。
グローブを外して薬を取り出したイグニスにステラは軽く首を傾げる。
「傷、そんなに深くないよ?」
「確かにそうだが、こんなところに傷跡が残るのは嫌だろう?何より、オレが嫌だからな」
「…それ、兄が妹に言う言葉じゃない」
「…そうかもな。だが、お前はオレの妹である以前に1人の女性だ」
「変に意識させないで…」
ステラがふいと色づいた顔を背けると、イグニスは苦笑した。
「ステラ…少し染みるかもしれないが、絶対に動くなよ」
「はいはい」
兄の言葉の真意を読み取り、ステラも苦笑する。
イグニスの指先が傷に触れた時、薬の冷たさとそれが染みるぴりぴりした痛み、そして兄とはいえ異性に素肌をさわられているという気恥ずかしさからステラは少し顔をしかめた。
イグニスはステラの微妙な感情に気づきつつもそれを表に出すことはせず、淡々と傷の手当てを終わらせた。
「兄さん…何かごめんね?」
「いや、ステラは悪くない。おまえが魔導兵に狙われやすいとわかっていながら離れたオレ達が悪いんだ」
「じゃあ、お互い様ってことで」
「ああ、そうだな。これからはもっと気をつける」
「うん。私も気をつけるよ」
仲間達のもとへ戻る途中、ステラは少し苦い顔でため息をついた。
「…絶対グラディオに何か言われる」
「まぁ…仕方ないさ」
「仕方ないかぁ…」
「おい、そこの兄妹!一段落したか?」
案の定グラディオから声がかかり、ステラは大きなため息をつく。
「ああ。ちゃんと手当てはした」
「…怪我は?どうだったの?」
「大したことなかったよ。プロンプト…さっきは取り乱しちゃってごめんね」
「あ、ううん!こっちこそごめんね」
顔を合わせるなり即仲直りした2人に、ノクトは1人安堵の息をついた。
「ったくお前らは少し離れたところで兄妹のくせにイチャつきやがって」
「「イチャついてない」」
全く同じタイミングで否定したスキエンティア兄妹に、グラディオは吹き出した。
「冗談だ、わかってるって!そんな2人して否定すんなよ。…まぁ、あんまり疑われるようなことはしないでくれ。逆に気になっちまう」
「ああ…わかった」
こうして一行は、ようやくレガリアへと戻った。





(兄さん、どこかお店に寄って。服買わなきゃ)
(そうだな)
(そんな派手に破れたのか?)
(グラディオ、笑い事じゃない!修復不可能なんだよ)
(え!そんなに破れてたの!?)
(…マジで?)

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