ニョルド

□手紙
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最愛の君へ。

元気にしていますか?

君の忙し過ぎるほどの活躍を見ながら、嬉しい反面、無理をしがちな君をつい心配しています。

卒業してから5年、僕は音大を卒業して、何とか学生の時から夢だった声楽の道に進みました。

食べていくのがやっとな毎日で、バイトを掛け持ちしながら何とか生活をしています。

お陰で自炊もお手の物になって、君のよく作ってくれていたキムチパスタも今では僕の得意料理になっています。

最近では母から教わったチゲも作れるようになったけど、君は辛いものがあまり得意じゃないかったよね。

でも、きっと顔を真っ赤にさせながら「美味しい。」って言って食べてくれるんだろうね。

5年も経ったのに、何をしていても君の事を一番に考えてしまう自分に、我ながら呆れてしまうけど。

話は逸れてしまったけれど、進路を迷っていた時に「ギョンスの歌声を、俺はみんなに聴いてもらいたい。」と背中を押してくれた君には本当に感謝してる。

生活は苦しいけれど、僕はやりたいことをやる事ができて、本当に楽しいんだ。

でも、隣に君が居てくれたら…なんて今でも思ってしまう。

そんな事を言った所で、あの日に戻ることなんてできないのにね。

「俺…ギョンスの事が好きだ。」

そう言ってくれた時、どれだけ嬉しかったか君は分かる?

君の手を取ることができたら、どれだけ幸せだったろうか。

でも、僕がその手を取れば君の未来を僕はきっと壊してしまっただろう。

テレビで君の笑顔を見る度、僕の選択は間違っていなかった…そう自分に言い聞かせています。

もしも、もしも君に再会することがあったなら、まだ上手く笑える自信は無いけれど。

「チャニョルの幸せと成功を誰よりも願ってる。」

そう伝えたいな。




fin.

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