セフド

□Lie-sehun
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叶わぬ相手でも、手に入れたいと思った。

そう、手段をなど厭わぬ程に。

初めて出会った時から、貴方のことが好きだった。

実のヒョンの恋人という形で出会ったことを、何度恨んだか分からない。

「チャニョル。」

僕には見せない柔らかい笑顔で、声で、ヒョンを呼ぶ時、僕はどんな顔をしていたんだろう。

断じて言うが、ヒョンが死んだのは僕のせいではない。

けれど、悲しい…というよりも先に、これでやっとギョンスヒョンを僕のものにできる。

自分でも最低だと思ったけど、神様が僕に味方してくれた、そう思った。

「チャニョル…。」

昼も夜もそう言って泣くヒョンは、日に日にやつれていった。

死んでもなおギョンスヒョンを離さないヒョンが恨めしかった。

「大丈夫です。僕がそばに居ますから。チャニョリヒョンの代わりに僕が守ります。」

何度も何度も、呪文をかける様にギョンスヒョンにそう言い聞かせ、虎視眈々と心の間に忍び込む機会を伺っていた。

「セフナはどこにも行かない?ずっとそばに居てくれる?」

そう弱々しく僕に問うギョンスヒョンに、僕は心の中で笑った。

やっと僕のものになってくれたんだね。

行かないよ、どこにも行くはずなんてない。

永遠にヒョンを愛して守ってあげる。

チャリヒョンの痕跡を消す様に、身体の隅々まで口付けると、震えるヒョンの視線はチャニョリヒョンを探す様に宙をさ迷う。

「チャニョル…。」

声にならない声でそう名を呼んだ気がした。

どうか、騙されたままでいて、自分を騙し続けていて。

「愛しています。ギョンスヒョン。」

また名を呼ぼうとする唇を、封じ込める様に塞いだ。

fin.

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