白西 短編小説
□25歳
1ページ/2ページ
25歳。
それは社会的にもう十分すぎるほど、大人といえる歳。
体力に衰えを感じてきて、自分が老人のように錯覚し、子供ぽく振る舞うことが許されなくなる、そんな歳だ。
それは社会でもあたりまえだが、芸能界だど余計、そこの格差を感じる。
多くの人が仕事に慣れてきて、結婚もしたりして、人生が安定してきてる歳に
私、白石麻衣は今日をもって、なりました。
朝起きて、ネットを開くと、検索ワードに私の名前がデデーンと出てくる。
その下のコメント欄には、私のファンが私の卒業についてハラハラドキドキと口論をしている。
雑誌にも言ったとおり、東京ドームに行きたい!
ただ、その願いがこうにもあっさりと叶うことが思いもしなかった。
もちろん、私も卒業について考えている。でも、芸能界入って
こんな可愛い彼女できたら、卒業なんて吹っ飛ぶよ!
「まいやーん!」
時刻は深夜11:58分。
愛しの彼女から一着のLINEがきた。
「なーに?七瀬?」
「なぁーまいやん、電話せーへん?」
「ん?いいよ」
ぷるるるる………
「あっもしもし、まいやん?」
「うん、どうしたの七瀬?」
「いや、ちょっ待って」
「?」
「…………………」
「なぁーちゃん?」
「麻衣!大好きやで!!」
「え?あ、ありがとう」
ずっと七瀬が黙り込むから、ちょっと心配してたけど、まさかまさかのサプライズに、ビックリする私。
「あっ、逃げ水スタンプ送っといたよ!あと、ちょっと玄関まで来てくれない?」
「えっ、あ、うん」
意図がわからず、とりあえず言われた通り玄関までいくと、トントンってノック音が響いた。
その扉を開けると、華奢な体に似合わず、七瀬は大きな薔薇の花束を片手に抱えて、満面な笑顔で
「「麻衣、誕生日おめでとー!!」」
と電話と現実で、両方に七瀬の声が響いた。
「あ、ありがとう………」
なんか感動諸々で、うまく言葉が見つからなくなっていた。まさかこんなサプライズを用意してくれるとは、思っても見なかったから、もう…………
「あっ、やばい!まいやん!ベランダいこー!」
「え?まだなんかあるの!?」
慌ただしい七瀬に引っ張られ、ベランダに行く。
すると
プシューーーーーー……………バンー!!
夜空に満開な花火が!!