白西 短編小説


□そんな君が好き
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ななはいつも、少しだけ早く登校する。なぜというんなら、ななの彼女がそうリクエストしたからや。


ガラララララーーーー…………

「あっ!七瀬、おはよ!会いたかったよーー!」


教室の扉を開けると、まるで主人の帰りを待っていた犬かのよう、まいやんに抱きつかれた。


「んっも〜、昨日もあったやん………

凛々しくかっこいいとの噂の白石先輩がこうだとわかぁったら、後輩たち泣くで?」


「ううん。七瀬にだけ、特別。」


いつもはななより少し高いまいやんやのに、今日は椅子に座ってるから、ななの下から上目使いで発するその言葉にキューんって胸が締め付けられる。


「七瀬、おいで」

そう呼ばれて、向かい合わせでまいやんの膝の上に座らされるなな。落ちないように自然と腕をまいやんの首に巻き付けば、まいやんもななの腰に手を添える。


「今なら誰もいないし、思う存分イチャイチャ出来るね。」
「うん。そう、やな………ねぇ、まいやん……(フーって一息つき、覚悟を決めて)







キス、してくれへん?」


そういうと、瞬間的に固まってしまったまいやん。ななからゆっくりと、顔を真っ赤に染らせたまいやんに、そ〜っと………唇を重ねる。


「んっ、、」
「っ………、、、七瀬からのキスなんて、レアだね(笑)」


照れくさそうに言うまいやん。リンゴのように真っ赤に染めた頬にはいつもの余裕がなく、かわりに少女特有の恥ずかしさや初々しさがのこる。


「ふふ、まいやん、かわいい…………」


でも、キスした理由はそうじゃない。



「麻衣さ、、、最近、美彩と仲良すぎる。」
「あ、れ?七瀬さん、これってもしかして、焼きもち?」


なんて、さっきの初々しい顔が幻だったかのように、ニヤニヤが止まらなくなったまいやん。ちょっとだけきつくななの腰が掴まれ、無理やりキスされた。

そのときやった。ペタ……ペタっと廊下から足音が聞こえてきた。焦ったななはまいやんを押し返そうと試みたが、いくらななが抵抗してもまいやんの力になんて勝てず、ねじ伏せられてしまった。


「んっ!もうだめ、、人が……」
「ちょっとだけだから、ね?」
「んっ、、、」


優しくだが、無理やりキスされた。いつものまいやんは絶対しないのに………




ガラララララーーーー………………


「だれかいるの!?」
「っ!?」
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