白西 短編小説
□彼女はマドンナ
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空は快晴、爽やかな波音を聞きながら。ななたちはワゴン車から降り立った。
「誰かとこうして海に来るのって、初めてだね」
そう微笑みながら、黄色のサーフボードを取り出すまいやん。あの日と変わらないオレンジ色のラッシュガード。太陽に照らされ一層と眩しくななの瞳に映る。
気持ちをソワソワとさせながら、まいやんと並んで白い砂浜を歩く。
いざまいやんの隣にいるとわかる。
あちらこちらから飛び交う、まいやんに対するひそひそ話。
賞賛や驚嘆、憧れももちろんあるが、中には厳しめな言葉も多い。
「七瀬、無視だよ」
人差し指を口に合わせ、しーってポーズをするまいやん。うんって、頷けば優しく頭をなでなでしてくれた。
「あっ、あの!」
突然目の前に現れる高校生ぐらいの男子が一人、何故か照れくさそうにななたちの行く手を阻む。
「す、すきです!付き合って下さい!」
「っ!?」
一瞬でも動揺したななの手を強くに握りしめるまいやん。
「ごめんね!恋人は足りてるの」
そう言ってななの手を引き、男の子の隣を通った。
二時間後。
流石に疲れたななたちはサーフボードを置き、サワー室に入った。でも、シャワー室は一つ壊れて、ななはまいやんが使い終わるまで待つことにした。
でも、まいやんに手を引かれて、ななもシャワー室に入れられてしまった。後ろ手で鍵を閉め、ニヤリと微笑み、ななにキスをした。
「んぅ…………へ、変態!!」
「えー、だって七瀬がかわいすぎるんだもん。これでもずーっと我慢してたんだよ?」
「帰るまで我慢せい!」
でも、さっきのキスで、ななが落ちついたのは事実。あんな告白現場を見せつけられたら、誰だって不安になる………
「まいやん、、、、あんなのよくあることなの?」
「あんなの?、、あ〜、まぁまぁかな?なに?妬いてくれてるの?」
「そっ!そうなんやない!ななもうさきに出るな!」
にっこりと微笑むまいやんがなんかいやで、逃げるようにシャワー室を出たなな。
「はぁ………まいやんのバカ、、」
あたりがざわざわとするビーチ。私服に着替え終わって、まいやんを一人で待つ。
「あれ?お姉さん一人?」
まいやんを待っとったら、後ろから、急に誰かから肩を組まれた。
「俺らと遊ばない?おごるよ!」
「お姉さんかわいいね!サーフボード?サーフィンできるの!?」