白西 短編小説
□ななが大好きなのは
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朝、楽屋に入ると
「あっ、なぁちゃん!おはよー!」
「七瀬、おはよ〜」
「先輩!おはようございます!」
「なぁちゃん、おはよ!」
ゆったんに続いて、みさ、きいちゃん、かずみんにあっという間に囲まれた。
「七瀬!今日はうちにお泊まりにこない?」
「あーー!今日は私とご飯食べに行くって約束した!」
「先輩、あの、、これ、私が焼いたんです。よかったらどうぞ!」
あー、これはまたどうしたことか………
そのとき、後ろから誰かに手を引かれて、真正面から抱きつかれた。
「こらー!七瀬の私の!誰にもあげないんだから!!」
抱きついたときに匂った甘い香りの正体。私の彼女こと、白石麻衣にしっかりとホールドさせられた。
「なぁちゃんが一番好きなのは私でしょー!それ以外ありえない!ね!なぁちゃん!」
「んぅ〜、ななが一番好きなのは………………
うどんかな?」
どてーーーーーーー
「そんなーーーー!!」
意外すぎる回答に、勢いよく転んだ真似をするまいやん、楽屋は大爆笑で、いつものほのぼのした毎日と変わらかった。でも、この時。まいやんの心の中に芽生え育った不安をななはわかってあげられへんかった。
翌日………
朝、起きたら。ある一通のメールがななのもとに届いてた。
To:七瀬
別れよう……………………
まいやんより
簡潔な文書、重たい言葉。
その瞬間、ななの頭に浮かんだ数々の驚きや不安以前に、ななの目から無数の涙が溢れてきた。
「えっ、、、どーして?」
自分の目がまるで自分のじゃないみたいに、大量の涙がぽたぽたと溢れてくる。
「おはよー!七瀬!」
「うん、おはよー………」
散々迷った結果、ななはやっぱり仕事に行くことにした。確かに突然きたまいやんの別れメールはショックやった。でも、本人逃げても何もならん。
幸い、今日は生写真の撮影、まいやんと話す時間は充分あるはず。
「はぁー………………」
「はい、お疲れ様でした!!」
まさかのなながトップバッター。いつもよりも長く感じた生写真の撮影。着替え終わって、いざ楽屋の前に立つ。
(あー、なんかドキドキする…………)
「あ!なぁちゃんや!」
「っ!?」
「なにしてんの?入れへんの?」
いつもの無邪気な笑顔、楽屋の扉をすんなりと開けたさゆりんであった。