白西 短編小説
□薬嫌い
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「な〜なせ!」
「いやっ!!」
「あっ、こら!待てーー!!七瀬!」
「いややー!きらい!!」
はぁ……あっ!どうも、白石麻衣です。
ただいま、七瀬に薬を飲ませようと努力しております。
「こら!待って!!七瀬ー!!」
先月の乃木坂健康検査で、どうやら七瀬は病気と判明した。
あっ!別に不治の病でもないよ!ただ先延ばしにするとつらい症状は出る。
だから私は毎日こんやってこの薬を七瀬に飲ませるように頑張っているんだけど、七瀬いわく苦すぎて耐えらんないから、この薬が大っ嫌いらしい。
まぁ、実際に毎回薬を飲ませた時、七瀬は必ずしも泣いてしまうから、相当苦いだろう。
でも飲ませないわけにも行かないから、いろいろと考えなきゃいけないのだ。
「待って!!よし、捕まえた……」
捕まえてもなお、私の腕の中でジタバタともがく七瀬。どんだけ薬が嫌いだよ!
「もう、大人しくしろ!!」
動く七瀬を上手く取り押さえられない。はぁ、またあれをやるしかないか。
すぅー……と深呼吸をし、あの苦い薬を躊躇なく自分の口の中へ流す。
(うぅ………やっぱにがい………)
腕の中にいる七瀬を押さえつけ、無理やり口移しで七瀬の口の中に流していく。
「うっ…………ぐっ!やぁ、、、ふぅ…」
最初は抵抗を見せた七瀬だが、流し込んでいくうちに、だんだんと力が抜け涙目になっていく。
(あー、かわいい………)
「ふぅっ……………」
やっと流し終えた。
苦いからか、息継ぎが上手くできなかったからか、荒い息をする七瀬。
最初に左手に握りしめてあったキャラメルを取り出し、七瀬の口の中に入れる。
「ほら、苦くな〜い、苦くな〜い、キャラメルで甘くて美味しいでしょ?」
「うん………」
目には涙をいっぱいためながら、どこか納得のいかない顔で、渋々と頷く七瀬。
(あー、うちの七瀬は何でこんなにもかわいんだ!!)
「七瀬、好きだよ……」
「ななは、、薬を無理やり飲ませるまいやんなんて嫌いだ!!」
涙目で、私をトントンと叩く七瀬。何だかんだ、今日も平和な白西です。
「まいやん、キャラメルおかわり……」
「はいはい笑」