白西 短編小説


□嫉妬の権利
1ページ/2ページ


ななにはいま、片思い中の相手がおる。


同じ大学でテニスサークルの先輩、白石麻衣(通称 まいやん)

男女構わずとにかくモテるまいやんは、追求者も沢山おる。


ななはその中の一人に過ぎないのだ。


そしてその先輩は今、カフェのアルバイトで、ななの斜め前におる。

コーヒー機械の前で、器用に操作し始めるまいやん。


ただそれだけやのに何故かかっこよくて、ななは目が離せんかった。


「あっ!七瀬ちゃん!来たんだ」

ニコッと微笑む先輩がなんと神々しく、目が開けなくなりそうや。


ななの注文したキャラメルラテをテーブルに置き、まいやんはすぐさま他のテーブルへと向かった。


(あっ!あの子は確か………後輩の………………北野日奈子ちゃん!!)


まいやんと楽しそうに話している日奈子ちゃん。


何話しているやろう、気になる。


笑ってじゃれあってるだけやのに、まいやんをみてんと、何となく黒い、いやな気持ちが溢れてくる。


二人を見えないふりして、ストローでキャラメルラテをゆっくり混ぜる。


ちらり………

あっ、日奈子ちゃんがまいやんのほっぺにチューした。


なんか、心にムッとくるものがある。


「それは嫉妬だよ!!」

「嫉妬?」


以前、親友のかずみんに軽いテンションで言われたことを思い出す。


「麻衣先輩に対する独占欲のようなものだよ!」

「嫉妬………」



ななは別に恋人でも何でもないのに。

ただの友達……いや、友達以下かもしれない………そんなななになんの権利があって嫉妬してるんやろ………

なんか今のななって


「うざいなぁ…………」







午後、サークルがそろそろ始まる時間。

ななは一生懸命自転車を飛ばしておった。

「やばい!このままじゃ遅刻する!」


今日は練習試合やのに、絶対遅刻してはならん!!


バン!!!!!


十字路の曲がり道。ななは思いっきり赤い軽車にはねられた。


(いったぃ……………)

「大丈夫ですか!?」


全身からは血が、自転車はもう変形している。朦朧とする意識の中、動けないななを車の人は病院まで送ったらしい。

医療費も全て出してくれたらしい。


再び、ななが目を覚ますと車の人はやっと安心して病院を去ってくれた。


「七瀬!!!」

「まっ、麻衣先輩!!!!どうしてここに!!」


どうやら、時間になっても来ない私を心配して電話したらしい。
幸い、電話は無事で、車の人から説明受けたみたい。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ