白西 短編小説


□泣いた分だけ強くなる
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暑すぎる真夏のスタジアムに、観客席からは騒がし過ぎる歓声が響く。

何だって今日は待ちに待ったソフトボールの決勝戦やからな!!



え?なんでなながそんなに詳しいかって?

そりゃー!ななの世界一かわいい彼女!!まいやんが出場するに決まっるやんか!!



「ねぇねぇ!まいやんいつになったら出てくるの?」

隣でアメリカドックを頬張りながら、もう待ちきれないいくちゃん。



「はやくまいやんのために作った応援歌を歌いたいんだけど!!」

「せやな!!ななも歌いたい!」


そうこう言ってる間、次のバッターとしてまいやんが出てきた!


「いくちゃん!まいやんやで!!」

「えっ、あっ!ちょっと待っ……!」


2人でまいやんの応援歌をまいやんに聞こえるように大きな声で歌った。

…………………………………………






司会「いよいよ終盤戦。
現在のスコアは4:6で、秋葉学園が2点リードしています。

後攻、乃木学園は現在ノーアウト満塁!白石選手、サヨナラホームランという最後のチャンスを掴み取れるか!?」


「かっとばせー!まいやーーん!!!」








カキーーーーーーン!!!




司会「打った!打ちました!ボールは大きな弧を描きながらフェンスへ、これはホームランになるか!!!」




スポ……!


司会「おっと、センターがフェンスを這い上がりました!見事キャッチ!
ゲームセット!4対6で、秋葉学園が最後の勝利を収めました!…………………」





………………まいやんが………負けた?


次の瞬間、ななは何故か走ってた。
人混みを抜け、観客席から降り、通路を抜けると、まいやんの背中目掛けて全力でダッシュし、抱きついた。


「はァ、はァ……はァ、はァ……………」

「七瀬!?」


ななに驚くまいやんをそっと離すと、向かい合わせになってななの右手を握りながら、タオルでななの額に流れる汗をそーっと拭いてくれた。


「七瀬、ごめんね……負けたよ(笑)」

「嘘つき…………」

「うん、絶対勝つって言ったのにね」

「そうやない………」

「?」

「まいやんは!ななの前では強がんなくていいんやって!!」


まいやんの目を見ながら、しっかりと言葉で伝えた。するとまいやんは



「う、なな、せ……………うわーーーん…………」
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