気まぐれ小説
□少しでも長く、続くように
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トントン………
「お姉ちゃん………」
自分の枕を抱きかかえながら、夜になると私の部屋にくる彼女。
甘えた声で、朝とちがい、私のことをお姉ちゃんと呼びながら、おそるおそると覗いてくる。
可愛い………
そんな可愛い彼女に、私はいつも自分が出せる精一杯な優しい声で
「おいで?あすか」
と言う。
すると、あすかは一瞬目を輝かせ、トコトコとわたしのベットに枕を置き、布団に潜り込んでくるのだ。
「ねぇお姉ちゃん、今朝お姉ちゃんと話していた子って誰?」
「うんとね……………………」
私は丁寧にあすかに説明する。
「なるほど…」
うんうんと、自分なりに自分を説得したといってるかのように頭を上下する飛鳥。
あすかは夜になると、素直になるのだ。
その日に私が誰かと親しい行動をとったり、またなにかされたときの夜にかぎって、あすかは私と寝たがる。
愚痴や、思ったことを全て私に話して、甘えてくる。
「そんなのいやだ、お姉ちゃんは私のものなのに、私が一番お姉ちゃんのことが好きなのに…………」
あすかはいつもそういう。
そしてしゅんと、ここぞとばかりに子どもの顔をしてくる。
姉妹として、これはおかしな話だ。
ましてやもう高校生になった飛鳥と、その5つ上の私。
飛鳥が思う私への思いはどうやら姉妹以上であり、そのことについて、飛鳥は気づいているのだろうか?
その無垢な顔を見ていると、きっと君はわかっていないのであろう。
飛鳥からの愛は歪んでいる。
けれども、私はその歪んだ愛を受け止める。