気まぐれ小説
□片思いの確かめ方
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朝。
眠い目をこすりながら、昨晩未央奈から相談があると言われたから、めずらしく朝イチの楽屋に足を踏み入れた。
「みおな、どうかしたの?」
すこしひんやりとする朝の空気を胸いっぱいに吸い込み、楽屋の扉を開くと、突然目の前から飛びついてきた未央奈に抱きつかれた。
「ななみさん、好きです……」
シャンプーの香りに、柔らかな感触、抱きつかれたままぼそっと言われたこの一言に、脳がまだ反応できずにいると、唇に柔らかい感触がして、シャキッと目が覚めた。
「ちょっ、、みおな!?、」
焦って未央奈を押し返した私は、視界が広くなったのと同時に楽屋の前で固まる飛鳥と目が合ってしまった、固まる二人、さきに動いたのは飛鳥の方だった。
そうまるでハッとなにか思い出したかのように、飛鳥は廊下を走り去っていってしまった。
「ななみさん、追いかけないのですか?」
ぼそっと未央奈が冷たく言い放つ。
「追いかけるもなにも、別にやましいことじゃないし、、飛鳥はただの妹みたいな…………」
「言い訳ですか?自分には素直になれないのですね、それは軽蔑しますよ?」
負いかぶさるように未央奈がまたそういいはなった。
言い訳………
だんだんと遠くに響く飛鳥の足音に、私の心は明らかに穏やかじゃなくなっていた。
ポンと、未央奈が私と背中に両手をつけ、勢いよく私を押し出した。
おっと!!っと振り返って未央奈のほうに向くと、泣きそうな顔で
「早く行ってあげなよ、バーカ………」
と言われた。