気まぐれ小説
□気持ちより居心地
1ページ/3ページ
私はいくちゃんがすきだ。
それは恋かどうかと聞かれると、正直自分もよくわからない。
私はただ、いくちゃんが可愛くて、愛おしくて、そんないくちゃんのいろんな顔がみてみたい、とそう思うだけだ。
例えば急にドヤ顔で歌いだしたり、泣きそうな顔で上目遣いしてきたり、まいや〜んなんて甘えた声で駆け寄ってきたり、ときどきクズな男装なんかもしたり。
そんな、いろんな顔のいくちゃんを、私はすきで、いとおしく思う。
まぁ何せ、一番の原因はそばに居ると落ち着くからだけどねぁ……
ほら、いまだって
僕の膝の上に座って、ドヤ顔でフィンランド民謡なんかを歌っている。
「まいやんといくっちゃん、ほんと仲いいよなぁ」
不意に前から、メイクを終えて、暇になったみさみさが話しかけてきた。
「うん!仲良しさん!!」
それに言葉に対して、いかにも自慢げにあごをあげながらそういういくちゃん。
もう………可愛すぎて、危うく私は悶絶するところだった…
それを頑張って気づかれぬように必死に顔面を強ばらせたのに、
「なんなんお前ら、付き合ってんの?」
「ぶふぉ………」
あー、吹き出してしまった……
「な、ゴホゴホ………なにいってんの?みさ、そんなわけないじゃん、なにバカなこといってんの?」
咳き込みながらも、ここは怯まず、にこにこと笑いながらその質問を問いかけてきたみさみさに、言い返してやった。
みさの笑顔から、この質問はおそらく意図的でしょ。
ここでひけてはダメだと、動物のしての本能がさわぐ。