白西 短編小説
□ななが大好きなのは
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「麻衣ちゃーん!おっはよー!」
「あっ!さゆりちゃーん!」
扉を開けてすぐ、ダッシュでまいやんにむかったさゆりん。
いつものバカップル芝居、まいやんはまだななのこと気づいてへんのかな?
「あっ、なぁちゃんおはよー」
いつもの優しい声と瞳。
紛れもなくそこにいるのはいつもと変わらないまいやんや。微笑み返して、再び携帯のメールを見る。一瞬でもあれは夢やないかと、錯覚させられたまいやんの笑顔。傷ついてるのはななだけかな?
「なぁちゃん!ちょっと…………」
急に腕をひかれて、ななみんと楽屋の外に出た。
「5時半、1人でこの場所に来て。静かにね」
大事かつ慎重そうに、ななの手のひらに何かのメモを置いて、そのまま去ってしまった。
携帯の時計が5時半。
ななは指示通り、薄暗い廊下を渡り、非常用の階段を下って、指定の場所までついた。
突き当たりには大きな部屋。食堂らしく、たくさんの椅子や机が並ぶ。
しばらくして、ななみんの声が近づいて聞こえてきた。焦ったななは近くの机に隠れて、そーっと覗き込んだ。
(ひくっ、、、ひくっ、、、)
ななみんの隣には女の子なしき人物が並ん歩いてる。啜り声が聞こえるから泣いとるんかな?
「っ!?」
そんなこと考えてたら、二人が向かい合わせで席に座った。その瞬間、窓からくる微かな太陽の光が、その女の子の顔を照らし出した!
「、、、、ま……いやん………」
あまりにもの驚きで暫時の呼吸をも忘れた。静かにななみんからきりだす。
「で?なぁちゃんと別れたの?」
(私の話題?なんでななみんがそんなことを、だからななは呼び出されたの?)
「うん、七瀬にはもっと似合う人がいるから!」
無理に意地をはって、笑ったそう答えるまいやん。
(ちゃうねんっ!!ななは、、ななは巻いやんが!)
「でも、なぁちゃんのこと好きなんでしょう?」
「うん、好き!すごい好き!いまでも好き!でも、、七瀬は私なんか好きじゃないよ……………」
(えっ?)
「今まで好きって言われたことないし、告白も私からだったし………七瀬は私なんか最初から興味無かったのかなぁ、、?」
ぽつりぽつりとまいやんの涙が太陽に照らされ、きらりと輝き落ちてゆく。
「ななは…………
まいやんのこと……好きだよ?」
「っ!?」