気まぐれ小説
□片思いの確かめ方
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私は走った。無人の廊下をただ全速力で駆け抜ける。
妹、メンバー………そんなことはもうどうでもいい!
それは、ただの言い訳。未央奈の一言によってはっきりと目がさめた私は、ただ自分に、ひたすら他人と自分を騙し続けてきたのだ。
飛鳥に、謝らなきゃ…………………自分の気持ちを、彼女に伝えなきゃ…………
ただそれだけを思い、はぁはぁと荒い息継ぎをしながら、自動販売機の隣で蹲る飛鳥の姿を見つけた。
「飛鳥…………」
小さく飛鳥の名前を呼び、私はしゃがんで飛鳥を包み込むように抱きしめた。
どんな言葉よりも、ただ強く飛鳥を抱きしめることが、今の私に出来る精一杯なことだと思ったからだ。
すると耳元から
「……やめて……………………」
と今でも消え果てそうな声で、飛鳥がそうつぶやいてきた。
「これ以上…………期待させないでよ…………」
ぽろぽろと、涙が飛鳥の頬に流れ、私に落ちた。
「期待?飛鳥は何を期待してるの?」
わざとそういじわるく私は、飛鳥の耳元でつぶやいてみた。すると
「バカ//////」
と耳まで真っ赤に頬を染まらせながら、飛鳥が私を押し返した。
「うん、、ごめん、知ってた。飛鳥が私のことをただのメンバーだと思っていないことを、でも気付かないふりをしていた。ごめんね?」
「うん……………」
すっかり大人しくなり、しゅんと私のいうことを黙々と聞く飛鳥。
浮かべるその涙を拭い、覚悟を決めて、私は飛鳥に気持ちを伝えることにした。