Dream

□彼と彼女のデート
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ついに、彼とのデート当日。この日の為に買った服。この日の為に、美容室へ行き、いわゆる、勝負下着も買った。
すべてを、紙袋にいれて職場のロッカーへ仕舞う。泊まり用のバッグは事前に最寄り駅のロッカーに置いて来た。


仕事が終わってから、駅で着替えと化粧直して、ロッカーの荷物持って……なんて、朝からシュミレーションをする。

今日、ついに彼に会えるんだ。この日をずっと待っていた。

自然に顔がゆるんだ。仕事中なのも忘れて。

ひろこがすかさず、突っ込んでくる。
『もしかして、今日??』
「なんでわかるの?!」
『さっきから、顔緩みっぱなしだよ〜』

ニヤニヤと笑いながら、『いいなー』と冷やかしてくる。



仕事が終わるまであと1時間


胸の高鳴りが抑えられなかった。
仕事が終われば、彼に会えるという安心感からか、机に置いてあるコーヒーを思いっきりこぼしてしまった。
仕事着だったが、染みになるのは嫌だったので、すぐにトイレへ行く。

コーヒーは、下着にまで染み込んでいて、とりあえず仕事着を脱いで替えを履いて染み抜きをした。

とりあえず、あと数十分だったが気持ちが悪くて急いでコンビニにショーツの替えを買いに走った。

すぐに仕事に戻ったが、このタイミングで忙しくなっていたので残業をする羽目になった。

ひろこは、私の予定をしていたのでここまででいいよ!あとはどうにかするから!と笑顔で送り出してくれた。

荷物を持って職場を出る時に時計を見ると待ち合わせの時間が迫っていた。

"ごめん。残業になっちゃってこれから向かうねm(_ _)m"

私は、彼にメッセージを送る。
彼は、大丈夫!というスタンプだけ。

楽しみにしてたのに待たせるとか最悪ー。

と思いながら、急いで駅のトイレで着替えをして化粧を直して泊まりの荷物を持って待ち合わせ場所まで走った。

"俺着いたから、こないだ送った場所で待ってる"

走りながら、スマホでメッセージを確認する。

「駅の南口、電話ボックスの辺りのハズ……」


スマホで送られてきた、詳細を見ながらキョロキョロと彼を探す。帰宅時間と被っているせいか人が多い。

待ち合わせ時間から、30分は過ぎていた。

電話をしてみるが、繋がらない。

もしかして、ファンの子とかに見つかって帰っちゃったとか……

どうしようかと、途方に暮れて駅の少し薄暗いベンチに座りこんだ。

スーツのおじさまや、真新しいリクルートスーツの新社会人が目の前を通り過ぎていく。

何回か携帯電話に発信するがすぐに留守番電話サービスになってしまう。

帰ってしまったのではないか、何か事件でもあったのだろうかと不安になる。

大きなため息を着いて、俯いた。



『隣座ってもいいですか?』


若い男性の声がした。
もう、彼も来ないかもしれない。
男性の方も見ず

「あ、どうぞ」

と、荷物を下ろす。

『待ち合わせでもしてるんですか?』
声の主は、隣に座り話しかける。
「そうなんです。けど、私遅れちゃって……待ち合わせの場所にいなくて……探してたんですけど見つからなくて……」
あははと、笑いながら、初めて男性の方を向き、驚いた。

『もしかして、その探してる人ってこんな人?』

黒いパンツに白のブイネックのTシャツ、ロングカーディガン
黒縁メガネでニッコリ小首を傾げて笑う愛しい人がそこにいた。


「は……羽生くんっ!!!」
『ごめん。打ち合わせに間違いがあったみたいで、電話とかいろいろしてて……』

私は周りの目も考えず、すぐに彼に抱きついた。
「なんかあったのかと思った。すごい心配した。」
彼は、すぐに抱き返してくれ、トントンと背中を軽く叩く。
『ホントごめん。心配させて。』

「走ったから、汗臭いよ!こっちこそごめん。」
『ちあきさんいいムードだったのに〜』

軽く彼は私の頬にキスをすると、行こうかと私の荷物を片手に持ってもう片手を私に差し出した。

彼とのデートは始まったばかり。
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